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 静岡県は4月15日、社会福祉法人大乗会(三島市)に対し、社会福祉法に基づく業務一部停止命令を行った。静岡県がこの命令を行うのは初。「全国的にみても過去10年間で、埼玉県で1例・三重県で2例あるだけの非常に珍しいケース」(県健康福祉部福祉長寿局福祉指導課)という。

過去4度に渡り改善などの指導

 県では、2009年、10年度及び14年度に、合計4回にわたり、同法人に対して(1)同法人が伊豆の国市に保有している土地に係る借入金などの経費について、介護報酬からの支払いを停止すること(2)不良債権化している(1)の土地について、売却などを検討すること(3)経営状況の悪化・サービスの低下を招いた責任を明確化すること(4)理事長兼施設長に対する調整手当について、不適切な支給額は返還させること、などの改善を命じている。

 今回の業務一部停止命令は、この改善命令に従った措置を講じていないことが理由。「法人からは解決・改善策などが示されましたが、県としては『これでは不十分』との判断でした」(県福祉指導課)処分内容は同法人が運営する特養「御寿園」(三島市)と「一本松」(沼津市)に対し、今年6月1日から6ヵ月間、新規利用者の受け入れを停止する、というもの。

4割以上が派遣 人材定着せず

 また、特養「一本松」に対しては4月15日付けで介護保険法に基づく改善命令を行った。内容は「事故発生防止や再発防止の徹底などを適切に実施すること」「褥瘡対策や入浴機会の提供など適切な介護サービスの実施」「職員の直接雇用の促進と、職員定着を図ること」の3点。

 「昨年8月に改善勧告を行いましたが、十分に改善が図られていないと判断し、改善命令としました。今年7月15日までに改善措置を講ずるよう命じています。これが守られなかった場合には業務全停止処分・法人解散命令など、さらに重い処分も考えられます」(県福祉指導課)

 県によれば、同法人に対しては、利用者の家族などから、「褥瘡が再発した」「誤薬事故が多い」などの相談・苦情などが寄せられていたという。

 「特に、介護スタッフの4割以上を派遣が占め、入れ替わりが激しく『少人数の利用者を担当スタッフがみるというユニットケアの考え方が実現できていない』という点が指摘されていました」

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