ゲームセンター運営大手のアドアーズ(東京都港区)は、高齢者にゲームセンターを利用してもらい、脳活性化や認知症予防につなげてもらおうという取り組みを今年4月より本格的に開始している。
高齢者の来店者 10年前より急増
同社が全国で運営するゲームセンターは48店舗。来店者数に占める高齢者の割合は現在約1割程度だが、10年ほど前より高齢者の姿が目立つようになったという。
「日本にスペースインベーダーなどのテレビゲームを備えたゲームセンターが登場した1970年代に、現役世代でゲームを楽しんでいた人たちがシニア層になったことが原因でしょう」と、同社経営企画部IR・広報グループの佐藤彰宏課長は語る。
中でも東京都板橋区にある大山店は付近が住宅街ということもあり、朝から夕方までの時間帯は来店客の約半数が高齢者だという。
そこで、同社では?店舗周辺に高齢者が多い?メダルゲームなど高齢者が好むゲームが多く設置されている、の2点を満たす大山店と南砂町SUNAMO店(同江東区)の2店舗をモデル店舗と位置付け、高齢者層をゲームセンターに呼び込むための具体的な取り組みを今年4月より開始している。大山店については、女子中高生に圧倒的な人気を博している「プリクラ」を撤去したりもしている。
デイサービスに外出レク提案も
まずは「小さなメダルを使って遊ぶゲームは、脳と指を刺激する」ことをアピールしたパンフレットを作成し、店舗周辺の公民館や集会所など高齢者が集まる場所に配布している。また、南砂町SUNAMO店では、「ゲームセンターってどんなところ?」「遊び方がよくわからない」といった高齢者に向け、毎月第3水曜日の13時から14時に「ゲームの教室~遊び方教えます~」を開催している。1回の定員は10人で要予約制。
「現在は、地域の元気高齢者などに向けたアピールが中心となっていますが、ゆくゆくは近隣のデイサービスなどに外出レクリエーションの一環として、アドアーズの店舗を利用してもらえるように呼びかけていきます」(同社)
このほかにも、かつては、店舗によっては来店者に先着順で茶菓子を提供するなどの取り組みをしていたところもあり、こうした工夫も凝らしていく考えだ。今後も条件が合えば高齢者層に向けた店舗としていく予定。「店舗のバリアフリー化なども必要性があれば検討する可能性がある」としている。
ゲームセンターの中心利用者は10~20代の若者層だが、少子化の影響やスマートフォンゲームの普及で近年のの来店客数は減少傾向にある。こうした中で「かつてのゲーム世代」の高齢者層をいかに取り込むか、が業界全体の大きな課題となっている。
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