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 アースサポート(東京都渋谷区)は、デイサービスを皮切りに中国国内における介護サービスを順次展開していく。今年の1月に中国でホテル事業や不動産事業、医療事業などを手掛ける神旺控股有限公司(上海市)と、中国の上海市に合弁会社「愛志旺(上海)健康管理有限公司」を設立。1ヵ所目の事業所である愛志旺デイサービスセンターの開所式を9月1日に開催した。

──初の海外事業とのことだが、海外展開のきっかけは。

森山 5年前に中国の医療機関と連携するため中国を訪問した。その際に、現地の高齢者施設を見学した。低所得者向けの施設では、環境が整備されておらず、臭いがあるなど、日本の40年前の介護現場を見ているようだった。逆に高級老人ホームは、施設は立派だが入居する際に面接をして入居者を選別するなど介護の精神が無いと感じた。それゆえ日本の介護技術で貢献したいと感じ、帰国した。その後、海外市場のマーケティングをしたところ、中国の介護に参入の余地があると分かり進出を決めた。
 35年前に空手の日本代表団として中国に行った際に感じた、中国の風土や人が日本に似ているという考えも影響しているだろう。

──どのようなサービスを手掛けるのか。

森山 中国展開している日本企業は施設系がメインなので、当社は在宅系介護サービスを展開する。その第1段として上海にデイサービスを新設した。その際に独資でやっていくのは難しいと感じ、中国の企業と合弁会社を設立した。
 本当は訪問入浴をやりたいという気持ちが強い。しかし、中国は訪問入浴車が危険車両扱いになってしまい、車両の中でお湯が沸かせないという問題がある。これまで、入浴の習慣が無い台湾で訪問入浴を指導し、非常に喜ばれるサービスになった経験から中国でも同様に喜ばれると考えている。デイサービスなどで日本式介護の実績をあげて、訪問入浴ができる環境作りのために政府に働きかけていきたい。

──中国のデイサービス事情は。

森山 中国のデイサービスは日本の老人会館のような施設がほとんどだ。健康で自立している高齢者はそこに集まって交流できるが、身体能力が落ちてきた高齢者は難しい。そのため、当社では、家以外で美味しい物を食べ、リハビリにより身体能力の維持・回復ができるような日本式のサービスを提供したい。介護の精神からターゲットは絞り込みたくないが、保険が無い国なので、利用者は自ずと中間層以上になるだろう。

──デイサービスの特徴は。

森山 定員は40名で当社のデザイナーにより、日本式の施設にした。家具は日本から持っていけなかったので、現地の業者に高齢者が利用しやすいよう細かい寸法を伝えて製作した。食事は神旺グループのホテルで調理したものを提供する。

──人員体制は。

森山 当社からは中国語が話せる総経理と介護福祉士の計2名が中国業務にあたっている。そのほか、現地研修指導のためのスタッフを派遣している。介護スタッフは現地雇用をする。軌道に乗ったら、現地スタッフを日本に呼び、日本の研修などを受けて欲しいと考えている。

──中国事業立ち上げで感じたことは。

森山 定期的にトップが行って陣頭指揮をとることが重要だと感じた。日本では担当者が社長でなくてもプロジェクトは円滑に進行するが、中国ではその考えは通用しない。
 日本で民間介護サービスが認められた40年以上前に、一から仕組み作りをしたノウハウを中国でも活かしていきたい。そのようなシステムを日本のみならず海外でも作ることができるのは本当に幸せだと感じている。

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