事業所の70%「人手不足」
平均月収約3700円上昇
公益財団法人介護労働安定センター(東京都荒川区)は8月9日、全国の介護事業者を対象に実施した介護労働実態調査の結果を発表した。訪問介護員・介護職員の離職率は前年比で0・8ポイント低下しているものの、「人手不足」と回答する事業所は前年に比べ0・6ポイント増加している。また、職員の高齢化も進んでいる。
処遇改善が進み離職率低下傾向
この調査は昨年10月1日から31日にかけて実施。全国の介護事業者1万7630事業所にアンケートを送付し、9102事業所より回答を得られた。なお、原則として昨年10月1日時点の状況について回答してもらっている。
それによると、離職率は15・4%で、前年の調査より0・8ポイント下落した(グラフ(1)参照)。内訳は訪問介護員が13・3%、介護職員(訪問介護員以外の、介護保険サービス事業所勤務者で直接介護を行う者)が16・2%。離職率は僅かではあるが低下する傾向にあり、これについて介護労働安定センターでは「雇用管理改善の取組みが進んでいると考えられる」とコメントしている。
同業者と競合採用難は深刻
一方で、従業員の過不足について「大いに不足」「不足」「やや不足」「適当」「過剰」の5つで回答してもらったところ「大いに不足」「不足」「やや不足」の合計は67・2%で前年より0・6ポイント上昇。2012年以降、6年連続で上昇しており、人材不足の状況は年々深刻化していることがうかがえる(グラフ(2)参照)。人材が不足している理由では「採用が困難」という回答が最も多く、そう回答した事業者に採用が困難な理由を尋ねたところ「同業他社との人材獲得競争が厳しい」がトップ。僅差で「他産業に比べ労働条件等がよくない」となっている。
こうした状況を受け、人材確保のために処遇改善を行った結果、正規職員の平均月収は(月給制の正規職員の場合)23万4873円で、前年より3712円上昇した。13年からは8・7%上昇している(グラフ(3)参照)。
また、人手不足で高齢者を雇用する介護事業所も多いことから、介護従事者に占める高齢者の割合も増加傾向だ。全介護労働者の中で60歳以上が占める割合は21・6%で昨年より0・7ポイント増加。14年からは4・2ポイント増加している(グラフ(4)参照)。65歳以上の介護労働者は12・2%となっている。
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