2019年10月実施で閣議決定
政府は12月8日の臨時閣議で、少子高齢化に対応するための2兆円規模の政策パッケージを決定した。政策パッケージの中には、公費1000億円程度を投じ、勤務10年以上の介護福祉士を対象に月額平均8万円相当の賃上げを行う方針が盛り込まれている。
公費1000億円を投入
政策パッケージは、「人づくり革命」と「生産性革命」を両輪としている。介護では、担い手不足の解消を目的に、勤続10年以上の介福士を対象に公費を投じる考えが示されている。介護現場のリーダーとして重要な役割を担う介福士を優遇することで、介護従事者の増加や離職の防止につなげていくのが狙いだ。詳細については今後、厚生労働省などと検討していく。
実施時期は2019年10月からで、財源には消費税率10%への引き上げにより生じる増収分を充てる。今後、10年未満の介福士やホームヘルパーといった他の介護職員などの処遇改善にも、この収入を充てられるように柔軟な運用を認めていく考えも示唆している。また、消費税率が10%になるタイミングで、介護事業者のコスト増を補填するための介護報酬改定を行うという。
厚労省のデータによると、介護施設における介護職員の平均月給は21万8900円、ホームヘルパーの平均月給は21万8200円と、介護業界全体の給与が他産業と比べて低いことが問題視されていた。8万円の配分は事業所が決めることになるため、該当する介福士すべての給与に上乗せされるとは限らないものの、次期介護報酬改定がマイナス改定との見方が強まる中、介護人材の担い手確保に追い風となることは明らかだ。
介福士の登録者数は140万人超だが、実際に介護に従事しているのは80万人弱だと言われている。今回の閣議決定を受け、介護職復帰を希望する介福士の増加が期待できるほか、介福士の待遇を看護師並みにすることができれば、人材確保・定着に向けた処遇改善も可能だ。また、2017年の介護福祉士試験の受験者数は半減したが、これを機に資格取得を目指す人の増加も期待できる。
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