「アットリハ」のブランドで、神奈川を中心に現在9ヵ所の訪問看護事業所を運営しているAT(川崎市)。設立してまだ6年足らずの若い企業ながら、看護師だけで90人を雇用するまでに成長している。同社の看護師採用・定着戦略などについて話を聞いた。
── 訪看事業所9ヵ所で看護師90人。1事業所当たりの平均看護師数は10人と多いですが、どの様な狙いがあるのでしょうか。
津田 訪問看護事業所は、24時間体制であり、なおかつ、いつでも緊急時に対応できることが重要だと考えています。そのためには1事業所あたり10名近い看護師が必要です。当社では訪問リハビリテーションも提供していますが「1事業所当たり看護師10人・リハスタッフや事務職などで20人、合計で30人」を基本スタイルとして展開していきます。
── 現在の利用者数は。
津田 看護とリハビリを合せて2200人ほどです。殆どが一般在宅で、高齢者住宅入居者は100人ほどしかいません。
── 看護師不足の中、どの様にして看護師を確保していますか。
津田 看護師の多くは女性です。従って育児や家庭との両立が図れる勤務体制をいかに整えるか、がカギになります。当社では1年365日を「平日の9時から17時」「それ以外の時間」に分け、それぞれの時間で勤務する看護師を完全に分けています。
平日の9時から17時に働くのは「ママさんナース」と呼ばれる子育て世代です。彼女らは、この時間帯以外は一切勤務しません。また保育園が特定の曜日は半日保育であるなどの理由でフルタイム勤務が難しい場合もあります。そこで1週間で24時間以上働ければ正社員として雇用する様にしています。
── 夜間や休日に対応するのは。
津田 「24時間ナース」と呼ばれる常勤雇用の看護師です。夜間のほか土日の日中帯、場合によっては平日の緊急コール対応も行います。多くは男性です。また、24時間ナースについては「看護師を志望しているが、資格がない」といった人を対象に、当社で准看護師資格を得るまでの学費を補助するなどといった支援活動を行っています。年間1~2名がこの方法で当社に入社しています。
── 今後の事業展開はどの様に考えていますか。
津田 訪看事業所については、今年春に東京都世田谷区、目黒区、それに横浜市で開設予定です。今後5年間で20拠点程度の開設を目指します。また、新規事業として高齢者住宅の運営に乗り出します。今年5月川崎市内で寮をリノベーションした60室の特定施設を開業する予定です。
── どの様な住宅ですか。
津田 訪問看護事業者が運営するという強みを活かし、末期がんや難病などの患者に特化して受け入れを図っていきます。また肺炎・褥瘡・脱水などの症状を抱えている人が病院に入院する代わりに短期入所で利用し、訪問医療・看護を受けるという仕組みも提唱していきます。入居費用については、生活保護受給者でも入れるような水準にしていく考えです。
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