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大幅な改定となった2014年診療報酬。特に在宅医療分野は診療計画・体制に大きな変更を強いられる。在宅医療、高齢者施設運営を手掛ける医療法人社団明正会(東京都千代田区)の近藤正明理事長に報酬改定の影響を聞いた。

──今回の在宅医療分野の報酬改定の一因となった一部の医療機関による不適切な事例についてどう見るか。

「厚生労働省が指摘しているように、医療機関が患者紹介の対価として支払う紹介料は良くないと思う。同時にたくさんの人を診るという粗悪な診療報酬はきちんと取り締まるべきだった。医師一人がひと月300人の患者を担当するという医療機関があったとすれば、そこは粗悪と言わざるを得ないだろう」

──在宅医療機関に対して、患者数や訪問制限などを取るべきという意見も多かったが。

「一人の医師が診療できる患者数の基準を設けるのがよい。医療の質を求めるなら、在宅時医学総合管理料(在総管)の対象となるひと月で診る患者数、一日で回る患者数など適切な患者数を国が示すべき。経験則で言えば、医師一人が在総管で対応できるのは最大120~150人が限度ではないか」
「そもそも施設向けの在宅医療はすべからく?悪徳?というレッテルを貼られてしまったような感があるが、高齢者施設の入居者の状態・環境は様々。重度や認知症の入居者が多い施設はいくらでもある」

──施設向け訪問診療に対して、2回の在総管のうち1回は集団で診療することが認められた緩和措置については。

「非常に不自然だと思う。医療機関にとって非効率な訪問診療を強いることになってしまうし、毎日医師がやって来る老人ホーム側の対応も大変。現在は大幅減収を避けるため、個別と集団を組み合わせたこの方式を採用しているが、医療機関も施設も負担が大きいやり方だ」

──粗悪な在宅医療をどのように取り締まったらよいか。

「適切な患者数なのか、オンコール体制をしっかりとっているのか、また看取り評価について、問題となっている各医療機関に監査に入るべき。そうしたステップを踏まずに、荒療治を施した今回の改定は余りにも稚拙と言わざるを得ない。このままでは国が進める地域包括ケアにも逆行してしまうだろう」

──国への提言など考えていることは。

「施設向けの在宅医療を手掛ける医師や関係者、政治家を巻き込んだ団体を作り、提言していきたい。医療機関の確保に問題が出た場合、日本医師会や関連団体が対応するというのも不公平すぎると思う」

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