5月23日、第101回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(以下・24時間サービス)、小規模多機能型居宅介護、複合型サービスにおいて同一の集合住宅などの利用者とそれ以外の住居の利用者に対するサービスのあり方に関する見直しについて検討された。本格的な議論は秋以降に実施される見通し。
集合住宅の訪問効率性に優れる
厚生労働省によると、24時間サービスについて、「特定の集合住宅にはサービス提供していない(地域展開)事業所」が61・2%、「特定の集合住宅のみにサービス提供している(集合住宅)事業所」が16・5%、また地域展開・集合住宅へサービスを提供する事業所は17・8%となっている。
排泄介助の割合が全ての事業所で高いものの、「集合住宅」では特に「見守り・安否確認のみ」の割合が高い傾向がみられた。1回あたりのサービス提供時間は、「地域展開」事業所が平均27・8分、「集合住宅」事業所が13・3分。集合住宅では訪問回数を増やしているものの、移動時間が減らせることから効率性の良さが示唆された。
また小規模多機能型居宅介護では、集合住宅におけるサービス提供状況について、送迎実施は戸建ての利用者では84・3%に上ったが、サ付き住宅等では43・6%だった。1週間における「訪問」は、戸建ての利用者では35・2%の実施率だが、サ付き住宅では85・3%と大きく開き、宿泊については、サ付き住宅利用者は実施率5・1%と低い結果に。調査期間の1週間におけるサービス提供時間は、戸建て61・2時間、サ付き住宅38・8時間と違いがある結果となった。
内田千惠子委員(日本介護福祉士会)は「サ付き住宅での24時間サービスは移動時間などの観点から、報酬の見直しが必要だ。また集合住宅に併設された小規模多機能型居宅介護に泊まり機能は不要で、包括報酬のあり方にも疑問を感じる」と言及。集合住宅とそれ以外の建物利用ニーズに即した運営のあり方が問われた。
さらに複合型サービスについても同様の問題が提起され、25名の登録定員の弾力化、人員配置の見直し、「訪問」強化なども検討された。
今年4月の診療報酬改定では、サービス付き高齢者向け住宅など同一建物における訪問診療の見直しが行われた。月2回訪問診療を行うと算定できる在宅時医学総合管理料は、まとめて訪問した場合報酬が従来の約4分の1、1回ごとに算定できる在宅患者訪問診療料も従来の約半分となった。
その結果、大幅減収に陥る医療機関もあるという。それを見越してすでに施設からの訪問診療事業から撤退する動きが見られている。入居者への十分な医療の確保ができなくなる事態につながりかねず、現場や入居者は不安を抱えている。
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