スギ薬局(愛知県安城市)が本社のある中部圏を中心に、関西圏、関東圏での店舗展開に注力している。特に高齢者施設への訪問服薬を強化するとともに、がん患者に対応した無菌調剤が可能なクリーンルームの設置を拡大。薬局店頭での認知症予防にも積極的に取り組んでいる。杉浦昭子副社長に地域医療対応型ドラッグストアとして在宅医療事業の展望を聞いた。
──現状の店舗数、新規店舗数、エリア展開の戦略は。
「これまで同様、中部を地盤に関西、関東での展開が基本。店舗数は今年4月時点で917店。前期は64店の新規開設にとどまったが、毎年80店の新設が目標。M&Aは業界では盛んだが、慎重に判断したい。店舗開発はこれまで2キロメートルを商圏として捉えていたが、今後は1キロメートルでも成り立つような品揃えを地域の高齢化も踏まえて考えていきたい」
──ドラッグストアの調剤併設、高齢者施設への訪問服薬に注力している。
「中部・関西・関東には7割の人口が集中しており、今後高齢者が増えていくのもこれらのエリア。高齢者向けのサービス強化は欠かせない。現在全店舗の6割以上の約560店で調剤を併設。高齢者施設への訪問服薬は中部で135ヵ所、関西で83ヵ所、関東で45ヵ所、合計263ヵ所となった。利用者数は約7300人。施設入居者が8割を占めている」
──クリーンルームの設置にも意欲的。
「国が在宅ケアを強化する方針を示したことで、自宅や施設で療養するがん患者は益々増えてくると思われる。こうしたニーズに応えるためにも無菌調剤のクリーンルームを積極的に増やしていきたい。クリーンルームの設置数は現在中部で15店、関西で12店、関東で7店、合計34店となった」
──調剤併設や重度者向けの対応で薬剤師の教育も重要となる。
「在宅医療に対応した知識を3年で習得できるよう、薬剤師の教育プログラムを作成した。等級を設け、(財)日本薬剤師研修センターの認定も得られるようにした。秋までには一般にも開放したインターネット研修も開設する計画。薬の配達で終わらず、看取りまで対応した薬剤師の養成に今後も注力していく」
──認知症を予防する実証研究に取り組んでいる。
「70歳以上の人に歩行速度や歩数などを測る計測器を携帯してもらい、1ヵ月に1度、薬局で結果を評価する。適度な運動は認知機能を向上させる効果が期待されている。健康なときから活動的な習慣を身に付けてもらうのが狙い。国立長寿医療研究センター、化学メーカーと当社が共同で昨年から実施している」
――薬の勉強会など啓発活動にも積極的だ。
「10都府県で年1回、一般向けに健康増進セミナーを無料で開催。医師に講演をしてもらうとともに、相談コーナーで薬剤師や栄養士によるメディカルチェックを行える」
──今後の展望は。
「様々な計測機器を置いて、来店者の健康増進に役立ててもらえるようなスペースを設けた地域の核店舗作りを行っていく。現在2店だが10店舗にはしたい」
「ドラッグストアだがかかりつけ薬局としての役目を果たし、地域医療に貢献していくのが、今も変わらない創業以来の理念」
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