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 10月29日の第112回社会保障審議会介護給付費分科会では、特養と特定施設の介護報酬改定に向けた議論が行われ、特養多床室の室料相当を徴収する案が示された。低所得者に配慮した形で利用者負担を増加させることに委員からは「やむを得ない」との意見が相次いだ。

特定施設は加算充実へ

【特養】

 厚労省が示した案では市町村民税課税世帯で年金収入が211万円を超える第4段階に限り多床室の室料相当を徴収する。それ以外の層は、補足給付によって利用者負担を増加させない方針だ。負担引き上げの背景には、在宅生活者との負担の均衡を図る狙いがある。
 
 委員からは「低所得者に配慮しつつも、室料徴収はやむを得ない」といった意見が目立った一方で、村上勝彦委員(全国老人福祉施設協議会副会長)は意見書を提出し強く反対。「月々1~2万円の負担増となれば負担できない利用者も出てくる」と述べ、案の見直しを訴えた。
 
 そのほか多床室にかかる基準費用額について、直近の光熱費を踏まえて見直す。現在1万円で設定されているが、光熱費値上がりを考慮し基準費用額を設定する。

【特定施設】

 特養入所者が中重度者に重点化され、軽度者の受け皿としての役割や重度化した場合の対応に期待されることから、加算を充実させる。(1)職員人員配置を拡充した場合にサービス提供体制強化加算を創設する、(2)認知症への対応や受け入れを評価する認知症専門ケア加算を創設する、(3)看取り介護加算において死亡日以前4日以上30日以下に実施した手厚い看取り介護をさらに評価する、が挙げられた。

 また、前回改定で設けられた空室を利用したショートステイの要件を緩和する。(1)開設後3年以上、(2)入居率が80%以上の要件が壁になっており、現在届出は2割にとどまっていることから、複数の施設を運営する事業者に対して3年以上の運営経験があることとするほか、入居率80%以上を要件から撤廃する。

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