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 高齢者の在宅生活を支えるツールのひとつとしてニーズが高まっているのが「配食サービス」だ。配食事業大手の一社、ワタミタクショク(東京都大田区)の門司実社長に、今後の事業戦略などについて話を聞いた。

ポスティング等 営業手法見直し

──現在の配食数などの実績は。

 昨年は概ね1日28万食程度で推移したが、他社との競争の激化により今年は1日26万食程度となっている。まずは早急に28万食を回復し、来期には30万食を目指したい。事業所数は現在541ヵ所だが、当面はこれ以上の拡大はせず、各事業所の営業力強化など組織固めに注力する。

──そのためには、何が必要か。

 当社と業務委託契約を結ぶ形で、新規配食先の開拓と実際の配食を行う「まごころスタッフ」の定着が急務だ。まごころスタッフは現在約8900人いるが、なんらかの事情で委託契約を解除する人もいる。利用者は当社からではなく「まごころスタッフの○○さんから弁当を買っている」という意識のため、まごころスタッフが契約解除をしてしまうと、一緒に利用を停止してしまう。まごころスタッフが定着すれば、配食実績数も伸びていくだろう。

──まごころスタッフ定着に向けた取り組みとして考えているものは。

 まごころスタッフが新規開拓を行いやすいようなバックアップ体制の構築だ。例えば、これまでは新聞などメディアへの広告掲出などでPRをしてきた。しかしこうした手法では、大都市圏はともかく郊外などでは十分に訴求できない。今後は割引券のついたチラシのポスティングを行うなど、より直接的・地域密着的な形で消費者へとアピールしていくことを考えている。

 また、現在まごころスタッフは、平均で1日20軒・30食を配達しているが、住宅が散在するような地域では、配食先から次の配食先までの移動にかかるガソリン代などで事業性が悪くなる。こうした地域では配達のマージン率を上げるなどして、まごころスタッフが安心して事業に取り組める環境を整えていく。

子育て女性等も新たな顧客層に

──高齢者以外の新たな利用者層の拡大も重要では。

 10月より法人営業部隊を立ち上げ、法人需要の開拓を始めている。ただし、当社各事業所も、まごころスタッフも法人へのアプローチについてはまだノウハウの蓄積が十分ではないので、日頃病院など法人への訪問活動を行っているワタミの介護のスタッフなどと協力して行っていく。また、当社の食事は高齢者を主な対象としているため、通常よりも軟らかくなるように調理している。それは、幼児などにとっても食べやすいため、多忙な働く女性の中には、当社の食事を移し替えて子どもの弁当として活用するケースもある。こうした層も、今後の顧客として想定できる。

──ワタミグループの他の主力事業である、外食・介護とはどのような形で連携を図っていくのか。

 介護事業とは、今説明したように法人営業で協力してもらう。外食事業とは、同じ食に関するサービスとして食材の共同仕入れやメニュー開発などの連携が可能と考えている。円安傾向が進み、食材の仕入れ値が上昇傾向にある中で、共同仕入れによるコスト削減効果は大きいものと考えている。

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