介護業界最大の労働組合、UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU・東京都港区)は、12月16日「2014年処遇改善調査」の結果を発表した。組合員の平均給与が上昇するなど、介護業界就業者の処遇改善は進んでいるものの、「今の賃金に満足している」と回答した人の割合は2割強に留まった。
従業員平均月収 3月より1.3%増
この調査は毎年10月に実施しているもの。今年は月給制組合員1938人、時給制組合員1359人が回答した。
今年8月の月給制組合員の平均月収は22万4542円で、3月の平均より2885円(1・3%)上昇した。職種別で、上昇率が高かったのは入浴オペレーター(3・3%増)、生活相談員(2・0%増)、サービス提供責任者(1・9%増)など。一方、上昇率が低かったのは、准看護師(0・4%減)、福祉用具専門相談員(0・3%増)、ケアマネジャー(0・5%増)など。
「給与は上昇傾向にあるが、それでも2013年の全産業平均月収との差は7万円強ある。2014年は他産業の給与も上昇しており、差はさらに広がるだろう。また時給制組合員の平均月収も増えているが、これは時給が上昇したのではなく、人手不足により労働時間が長くなったためと考えられる」(NCCU)
また「今の賃金に満足しているか」との問いについては「満足している」「まあまあ満足している」の合計は23・9%。職種別で満足の割合が高いのは、訪問系介護員の37・1%、看護師の35・9%、ケアマネジャーの34・4%など。一方、福祉用具専門相談員は8・3%、入浴オペレーターは13・8%と低い。特に福祉用具専門相談員の時給制組合員は「満足している」の回答がゼロとなった。
これについてNCCUでは「福祉用具専門相談員や入浴オペレーターは男性が多いため『生活に十分な額をもらえていない』という不満につながっているのではないか」と分析している。
給与改定の有無 2割が把握せず
希望する賃金額は平均で25万7480円(月給制組合員)。職種別に関わらず概ね現在の1・14倍程度の賃金を求める傾向にある。
また「今年賃金改定があったか」との質問については「あった」が36・2%、「なかった」が35・7%と、ほぼ拮抗。また「わからない」も22・1%いた。この結果についてNCCUでは「自分の賃金に対する意識が希薄な人が多い」と介護業界従事者の意識のあり方を問題視した。
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