今年4月からの介護報酬は、現状より2・27%引き下げることが11日の麻生太郎財務大臣と塩崎恭久厚生労働大臣の折衝により決定した。介護報酬は前々回(2009年)・前回(12年)は介護職員の処遇改善などを目的にプラス改定となったが、今回は9年ぶりのマイナス改定。また、介護職員の処遇改善については、1人当たり月に1万2000円給与増を目的に、1・65%分を別枠で確保する。さらに、認知症や重度者向けサービス強化に対する加算などで0・56%分を確保する。これらを除いた実質的な引き下げ率は4・48%となる。
介護業界委員 最後まで反対
今回の報酬改定については、介護保険制度財政が厳しいことや、介護サービス事業者の収支差率が良いこと、特養の多くが多額の内部留保を抱えていることなどを理由に大幅な引き下げを求める財務省や自治体などと、サービス低下や人手不足の深刻化などの懸念から現状維持・引き上げを求める厚労省・介護業界などとの間で激しい綱引きが行われてきた。
1月9日に開催された第118回介護給付費分科会でも、村上勝彦委員(全国老人福祉施設協議会)が「介護報酬の引き下げと処遇改善は両立しない」と訴えるなど、一部委員は最後の最後まで、報酬引き下げに反対し続けた。
新報酬発表は2月6日予定
今回の改定を巡る議論の中で、最後まで委員の間で意見が割れたのは、介護人材処遇改善加算について。この日取りまとめられた分科会の審議報告書では、そうした背景を受けて「現行の処遇改善加算の位置づけを前提として今回の改定ではこれを維持しつつ、更なる資質向上を前提とした評価を実施していくことが適切と考える」「処遇改善加算の今後の取り扱いについては、より効果的かつ実効性の高い対応のあり方も含めて引き続き検討することが適当である」と、存続、別方法の実施の両論併記的な扱いとなった。
しかし、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会)が「今回、処遇改善加算が継続されるのは仕方ないが、これまでの結果をみても、処遇改善加算の実施では介護業界に人が集まらないのは明らか。介護報酬の議論だけで処遇改善を図るのには限界がある」として、税金等を活用した処遇改善基金の創設を訴えるなど、介護事業者関係の委員を中心に、加算の継続を疑問視する意見も聞かれた。
各サービスの介護報酬単価については来月6日に開催される介護給付費分科会で諮問され、決定する予定だ。
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