タムラプランニング・アンド・オペレーティング(以下・タムラ/東京都千代田区)は今年6月4日に日本創成会議が発表したレポート「東京圏高齢化危機回避戦略」に対する検証レポートを10月14日発表した。65の政令指定都市・中核市のうち、74%が2030年時点で施設不足に陥り、地方が東京圏の高齢者の受け入れ先になるのは難しいと結論付けている。
東京圏での不足今年は約13万床
タムラでは2015年の全国の高齢者施設(介護保険3施設、有料老人ホーム、グループホーム、軽費老人ホーム、特定施設の指定を受けているサービス付き高齢者向け住宅など)の総定員数を創成会議試算より約8万2000人多い142万1954人とし、東京圏については、2015年は51万760人の需要に対し供給数は37万4308人分で約13万6000人分の不足が生じているとした。
不足分は2025年には約11万4000人分と若干改善するが、2040年には約37万5000人分へ増加する。
創成会議と結果が大きく分かれたのは地方都市の状況について。創成会議では、「地方では、将来介護ベッドに余力が生じる」として具体的に41の2次医療圏を示した。
これに対しタムラでは、全国20の政令指定都市と45の中核市について2030年時点での需要に対する供給割合を試算した。それによると、74%に相当する48市で供給不足となる。特に、松山市、神奈川県横須賀市、高松市、富山市、青森市などは、創成会議では介護ベッドの準備レベルで高い評価を得ていたが、タムラの試算では供給不足となる。
この結果について「一部自治体では供給に余剰が生じるが、実際の市場では各市の介護保険事業計画の中でニーズ量に応じた施設整備が計画されるため、需要に反して供給量が一方的に膨らむとは考えにくい。県外移住者の受け入れは容易でなない」とタムラではコメントしている。
サ付き特定化で不足分をカバー
また、東京圏の介護ベッド不足への対応策としては「サ付き住宅及び住宅型有料老人ホームの特定施設化」を提唱する。
今回の供給量試算には特定施設の指定を受けていないサ付き住宅は含まれていない。2015年の東京圏のサ付き住宅・住宅型有老の供給数をベースに今後の供給量を試算すると2025年には約9万4000人分が供給されている見込み。仮にこれを全て特定施設化すれば、同年の不足数11万4000人分の82・4%を賄うことができる計算になる。
ただし、特定施設はサ付き住宅とは異なり3対1以上の人員配置要件があるため、人材確保が重要になる。これについてタムラでは「給与水準の引き上げ、外国人介護士の導入などが必要となるだろう」としている。
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