東京都では、低所得・自立者向けに、居室面積などの特例を設けて、利用料の低廉化を図る「都市型軽費老人ホーム」(以下・都市型軽費)の開設を進めている。今回は12月開設の2施設を紹介する。
ICT機器導入 今後の試金石に
メディカル・ケア・サービス(さいたま市)は12月1日に2棟目の都市型軽費老人ホーム「愛の家世田谷鎌田」(東京都世田谷区)を開設した。
同施設は鉄筋コンクリート造2階建てで、間取りは9・75平米の全室個室。定員は20名。
月額利用料は家賃5万3700円。生活費4万4810円(食費含む)。自室の光熱水費7000円。別途サービス利用料と介護・医療保険の自己負担分が必要。
同施設は食事に注力している。法人内のグループホーム260ヵ所以上で食事提供を行う、グループ企業のグリーンフード(さいたま市)が旬の食材を使用してその場で調理する。また、食器にもこだわっており、陶器の質感を表現した樹脂製のものを使用している。軽くて持ちやすい形状になっているため、高齢者でも安心して運ぶことができる。
各部屋には同社が開発したタブレット型コミュニケーション支援ツール「おせっかいステーション」が無料で配備されている。食事や入浴の予約および外出届けを出す際に使用できる。また、何か異変があった際には、施設の管理者や家族、医師、ケースワーカーなどの携帯電話・パソコンに情報を送信する機能も備わっている。
「当施設をモデルとして次年度内に都市型軽費10棟の開設を目指している。同様のICT機器を導入することで『都市型軽費は低所得者が入るので設備は必要最低限』という常識を変えていきたい」(植田元気課長)
訪介を承継 東京積極展開へ
北海道を中心に事業を展開する、くにもとメディカルグループの健康会(北海道旭川市)は12月21日、都市型軽費老人ホーム「ケアハウス押上」(東京都墨田区)を開設する。同施設にはデイサービス(定員10名)と居宅介護支援事業所が併設されている。
オープンに先立って12月2日に開催された開所式で國本正雄理事長は「当法人念願の東京進出が叶った。11月に事業承継した、居宅介護支援事業所併設の訪問介護事業所「ひだまり深川」(東京都江東区)、「ひだまり臨海」(同)と併せて、今後2、3年は東京で積極的に事業を展開したい」と抱負を語った。
同施設は鉄骨造4階建てで、間取りは約10~12平米の全室個室。定員は20名。西向きの部屋の窓からスカイツリーが間近に見られる。
月額利用料は家賃5万3700円。生活費4万4810円(食費含む)。自室の光熱水費5000円。別途サービス利用料と介護・医療保険の自己負担分が必要。サービス提供に関する費用は収入によって変化する。例えば、収入が150万円以下の場合、同費用は1万円で合計金額は11万3510円となる。都市部において安価で入居可能な同施設の需要は高く、20名の定員に対してオープン前で40名前後の申し込みがあった。
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