「デュオセーヌ」のブランドで、シニア向け分譲マンションの開発・販売・運営を手がけるのがフージャースホールディングス(東京都千代田区)だ。茨城県つくばみらい市の第1号物件は完売し、今後も年間2~3棟ペースでの供給を目指す。シニア向け分譲マンションの企画・販売・運営を目的に、昨年設立されたフージャースケアデザイン(同)佐藤多聞社長に話を聞いた。
──第1号物件が完売となった。
佐藤 「デュオセーヌつくばみらい」(150戸)は昨年1月に引き渡しを行い、引き渡し時に7割が売約済みだったが、残り3割をこの1年で完売した。購入者の3分の1が東京都民で約20%は千葉県民だ。地元茨城県民は15%程度となっている。また、購入者の約2割がセカンドハウスとしての使用や、将来に備えての購入だ。このあたりは当初の想定通りの比率となっている。
共用部にはレストラン・カフェコーナー・大浴場・パーティールーム・娯楽室・ビリヤード場などを完備しシニアの充実した生活を演出する。介護・医療サービスとしては、建物に訪問介護・訪問看護・居宅介護支援事業所を併設している。また、在宅医療にも対応する近隣の医療機関とも提携している。
──次の供給計画は。
佐藤 今年8月に東京都町田市で「デュオセーヌ緑山」(82戸)が竣工予定だ。その後は千葉県柏市の柏の葉キャンパス、兵庫県三田市、神奈川県厚木市、千葉県市原市で開設計画がある。三田市の物件は関西でシニア向け分譲マンションの実績があるハイネスコーポレーションと共同出資して設立したマスターズセーヌという会社が売り主となる。今後は年に2~3棟程度の開発を手がけていきたい。
──開発する物件はどのようなものか。
佐藤 規模は150戸程度で健常高齢者向け住宅、というのが基本スタンスだ。地域の用途制限などで介護事業所が開設できない場合を除き、居宅介護支援事業所や訪問介護事業所などの介護・医療サービス事業所をテナントとして入れていくが、どちらかと言えばマンション住人の将来の備え、地域住民の利用を目的として考えている。
──新会社フージャースケアデザインを設立した。
佐藤 当社では、現在、シニア向け分譲マンションの展開とは無関係に、東京都日野市でデイサービスの運営を行っている。将来的には、このノウハウを活用するなどしてマンション購入者に対する介護の提供も何らかの形で自前で手がけていきたいと考えている。また「つくばみらい」の運営管理は当社に移行される予定であり、町田・柏は当社の運営管理、厚木は当社が売り主となる計画だ。将来的にはシニア向け分譲マンション事業は当社に集約・移行していく流れだ。
──今後の事業展開で考えていることは。
佐藤 「デュオセーヌ」は健常高齢者向けの住宅だが、将来は購入者の介護問題が生じてくることが予想される。もう少しマンションの数が増えれば、複数マンションの中間地域などに、訪問系介護サービス事業所や有料老人ホームなどを開設して、そうした介護ニーズに対応していくことも必要になるだろう。
また、地方でのCCRC展開にも関心がある。実際に地方の自治体から「進出して欲しい」とのオファーが来ている。不動産デベロッパーであり、大規模な開発に関するノウハウを有している、という点で他の高齢者住宅運営事業者に比べCCRCを開発・運営する上で有位にはたらく面がある。CCRC事業に参入するか否かは、ここ1~2年以内にはっきりした方向性を示したいと考えている。
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