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 北海道内で、介護・医療事業などを幅広く展開するのがMOEホールディングス(札幌市)だ。1999年に留萌市で創業して、順調に事業を拡大し、現在は高齢者住宅だけで約1000室を運営している。事業展開などについて取材した。

「病院と対等な立場で接する」

 現在、ホールディングス傘下にあるのは、介護事業の萌福祉サービス、介護・医療コンサルティングなどを手がけるネクスウェル、医療法人社団萌水会、高齢者向け配食・給食事業のほか飲食店経営などを手がけるモエズキッチン、農業事業のモエアグリコネクションの5法人。
 2009年に萌福祉サービスとネクスウェルの100%持株会社としてMOEホールディングスを設立し、その後事業会社を増やしてきた。

 特に医療については「後継者不足なので廃業したい」と相談を受けた札幌市内のクリニックの経営を支援する形で参入した。

 「近年は介護と医療の連携が進んでいるといわれていますが、実際のところ介護事業所から病院に利用者の受け入れを要請しても断られるケースが少なくありません。医療・医師と対等の立場に立って話をするには、こちらも医療を行い、医師を抱える必要があると考えました。当社の介護サービス利用者が医療を受ける権利を保証することが重要なのです」(水戸康智社長)

 また、医療法人では上砂川町から町立診療所と老健の運営を受託している。

 こうして、現在は札幌を中心に道内にネットワークを広げつつあるが、事業展開エリアについては「ニーズがあるところで展開する、を基本に考えており、特にどこと決めていません。必要があれば道内全域に出ていきますし、道内での展開にこだわる必要もありません。中国やベトナム・シンガポールなどの海外事業も視野に入れています。また、事業拡大に際してはM&Aも検討していきます」(水戸社長)とコメントする。

「大都市高齢者のニーズ満たす」

 さて、最近同社が取り組み始めたのが、東京など道外居住者の移住を見込んだCCRCの開発だ。
 「道内ではいくつかCCRC構想が出ていますが、おそらく一番具体化しているのが当社の計画でしょう」(水戸社長)

 開設地は、札幌市中心部から車で1時間程度の場所。高速道路の建設が進められており、将来的には40分程度での行き来が可能になる。ここに約15万平米(東京ドーム3個分)の土地を購入し、高齢者向けのほか、若い人たち用のものも含め、最低でも500戸程度の住宅を建設する。着工は来年の予定。開設は3~4期に分けて行い、2021年のフルオープンを目指す。

 特徴は「札幌の都市機能を最大限に活かす」という点だ。水戸社長が語る。

 「CCRCというと『自然豊かな田舎で暮らす』のイメージがあります。しかし、東京や大阪など大都市圏での生活に慣れた高齢者は、初めのうちは田舎暮らしを新鮮で珍しがっても、すぐに飽きてしまうでしょう。買い物に行きたい、芸術鑑賞、スポーツ観戦をしたいなどの欲求を満たすには札幌のような大都市の機能を上手く活用することが重要なのです」

 CCRCができても、その自治体だけに経済的効果が及ぶのではなく、周辺自治体にもメリットが出るような形で地域貢献を図っていく考えだ。

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