改正技能実習制度が11月1日に施行され、介護職における技能実習生の受け入れがはじまる。本紙では9月~10月にかけて、「介護技能実習生に関するアンケート」を実施。その調査結果をもとに、有力事業者80法人の動向をまとめた。「受け入れ予定・検討」と答えた事業者は半数を超えており、介護人材不足が深刻化する中、介護の新たな担い手として期待する事業者が増えている。
海外人材に期待高まる
改正技能実習制度における介護分野の追加をめぐっては、制度改定が決まった2015年12月当初、受け入れに意欲的な事業者が多かった。しかし、厚生労働省による介護独自の要件(以下・要件)が設けられることが決まり、日本語能力などが加味されることが判明すると、受け入れ人数の大幅な下方修正や、受け入れに消極的な態度を示す事業者が増えていった。だが今年、9月6日の介護給付費分科会で、人員配置基準に算定できることが明らかになり、様相に変化が起きた。
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本紙の調査結果では、2017年11月以前に「海外人材を受け入れている」と回答があった事業者は29%、「受け入れていない」は71%だった。そして11月以降、介護技能実習生(以下・実習生)を受け入れる予定が「ある」と回答した事業者は26%で、「検討中」と答えた事業者29%を含めると、半数以上が受け入れに前向きであることがわかった(グラフ参照)。
既に「海外人材を受け入れている」と答えた事業者に聞くと、「EPAや留学生、海外で暮らす日系2世や3世、在日外国人などの採用を積極的に行い、新たな担い手の発掘に努めている」といった声が多く、実習生の受け入れについては「海外人材活用の選択肢として、力を注ぐ」という事業者が多かった。
ただ当初は、数百人単位での実習生受け入れを検討していた事業者のほとんどが、来夏に数名~数十名の受け入れに止める方向だ。「受け入れ候補国を視察した際、日本語能力に疑問が残った。物価の安い現地でN2相当まで日本語レベルを引き上げ、来夏の受け入れを目指す」といった声や、「人員配置基準に算定できるとはいえ、事業収益の確保に不安が残る。来日後の研修期間を終えた後に、カウントできるようにしてほしい」という意見も多かった。また、「介福士の資格取得を目指す外国人留学生の採用にも注力する」など、長期での労働力確保を目指し、定住権を持つ海外人材の活用を視野に入れる事業者も多い。
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11月以降、「実習生の受け入れを検討している」と答えた事業者からは、「介護独自の要件が厳しく、受け入れは見送る方向でいた。しかし、人員配置基準に算定できることが決まり、来夏に数名の受け入れを検討している」、「受け入れ予定で動いていたが、要件の告示が遅れたため、これから本格的に動き出す」などの声が多かった。
2015年の厚労省調査によると、2025年には介護人材が37万7000人ほど不足すると推計されている。海外人材の活用については、情報収集を怠らず、熟慮断行が必要だろう。
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