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生活を医療で支える
 今年度の介護保険法改正において、介護医療院が新設された。介護医療院についての理念の共有や介護医療院への転換を支援するために、一般社団法人日本慢性期医療協会(東京都新宿区)内に日本介護医療院協会が組織された。同会の江澤和彦会長に話を聞いた。

 

──日本介護医療院協会設立の経緯は。
江澤 介護医療院については社会保障審議会の介護給付費分科会や在り方検討会などを通じて、その機能・役割を示していたが、理念については論じられていなかった。現段階では、行政や事業者などで介護医療院に対するイメージは統一されていないため、早急に理念を確立して共有する必要があった。
 そこで日本介護医療院協会を日本慢性期医療協会内に、組織として設立した。

──介護医療院の役割について。
江澤 介護医療院は住まいと生活を医療が支える新たなモデルだ。療養病床から転換することにより、療養施設から介護施設になる。介護施設になるからには生活機能を考慮しなければならない。つまり、生活施設になるわけで、間仕切りをするだけでなく、入居者のプライバシーを尊重するべき。入居者の思い出の品を持ち込んで、自宅に近い環境で過ごせるように取り組むなどの配慮が必要になる。間仕切りや運営基準を作っても、やっていることが今までと同じだと役割がぼやけてしまうので、一丸となって意識改革して取り組んでいくべきだ。

 

 4月から始まった制度なので、これからは様々な角度から評価していく必要がある。特養、老人ホームなど介護業界と協力しながら、生活施設の運営ノウハウを構築させたいと考えている。

 

 

介護施設へ転換 生活機能を考慮
──老健や特養との違いは。
江澤 介護医療院は長期療養施設であり、特養と機能を明確に区別する必要がある。医療機能と生活機能を持ち合わせるため、老健より重度者が入居すると考えられる。
 入居者の多くが要介護4~5が想定されるので、看取りの役割を果たすとともに、入居者が施設に籠るのではなく社会参加をしながら病態に応じた自立支援に取り組める環境にするべきだ。
 病院からの転換をイメージしているので、老健と違い、処置室など医療設備が併設されるだろう。通所リハ、訪問リハ、ショートステイなどの在宅療養支援機能を備えることができるので、入居するだけでなく、一時的な受け入れや在宅復帰など在宅医療との連携も可能だ。
 在宅復帰した患者の口腔状態の見守りと栄養支援が課題だ。今年度の診療報酬改定で加算が付いたが、どれだけ診療所と連携できるかまだ分からない。

 

医療設備を活用 在宅との連携も
──病床転換への課題は。
江澤 一般の人にとって「介護医療院」の役割は分かりにくい。入居者、家族、地域住民に理解してもらうため、健康体操や認知症カフェなどを開催して地域を巻き込んだイベントなどを仕掛けていく必要がある。

 

 

 移行支援加算でどれだけの病床が移行するのかにも注目している。法律上は療養病床と一般病床を区別していないので、一般病床・精神病床からの転換も市区町村が認めた場合には可能だ。医療の受け皿がない地域では転換する可能性があるが、病床が空いているから転換するのではなく理念を持って運営をして欲しいと考えている。

 

――今後の展望は。
江澤 将来的に協会で介護医療院の制度について方向性を打ち出すべきと思う。新しいモデルを健全に成熟に導くことが協会の役割であると考えている。
 次回の介護報酬改定までの3年間で理念を共有し、研修会などを通じて好事例を示して事業者を支援したい。

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