政府が6月15日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針)」。前号1面でも報じたが、経済成長の妨げとなる人手不足の解消に重点を置く政策を前面に打ち出し、経済成長により財政健全化を進めるシナリオを鮮明にした。介護関連の具体策は多岐にわたっている。
介護職処遇改善、来秋に
■外国人材・高齢者
骨太の方針では、質・量の両面で人材を確保するとともに、生産性の向上を目指す。人材確保については、外国人材の受け入れ拡大のほか、高齢者雇用や女性活躍の推進を掲げた。
具体策として、高齢者が意欲的に働けるような賃金制度や評価制度を構築する法人に対して、整備費用を補助するほか、高齢者を初採用する法人向けの「トライアル雇用」の普及促進を図る。働く意欲のある高齢者を介護・保育などの周辺業務に育成・雇用する取組みを全国に展開していく。
生産性の向上については、ロボット・IoT・AI・センサーなどの活用を促進するとともに、スタッフの業務分担の見直しや介護助手など多様な人材の活用による業務の効率化、事業所マネジメントの改革等を推進する。また、介護経営の大規模化・協働化による人材や資源の有効な活用や、医療・介護提供の広域化による地域間連携も促していく。
介護職の処遇改善については、2019年10月1日の消費増税に合わせて実施する。19年、20年度の当初予算に消費増税の経済対策を盛り込む。
■介護給付の適正化
介護給付の適正化については、介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスになどの給付のあり方を検討する。政府は、居宅介護のケアプランを自己負担とする案を俎上に載せ、市町村の総合事業を増やす構えもみせたが、今回は訪問介護の生活援助に限定した。
栄養改善を含めた自立支援・重度化防止等に向けた科学的介護の推進も重視する。ADL改善などのアウトカム評価に基づく、新たなインセンティブ交付金については、財源に調整交付金を活用するかどうかを含め、20年度までに結論を出す。
財政健全化を巡っては、16~18年度の予算編成で社会保障費の伸びについて数値目標を定めてきたが、今後は数字を設けない。また、基礎的財政収支が黒字化する時期を5年先送りし、25年度とした。
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