管理職の育成に課題
公益財団法人介護労働安定センター(東京都荒川区)は3日、昨年度の労働実態調査の結果をまとめた。介護人材不足の原因の一つに、低賃金やキャリアパスの未整備が指摘されてきたが、職員の多くが昇進を必ずしも望んでいないことが読み取れる。
離職率16.2%で横ばい
依然7割が「職員不足」
調査実施期間は昨年10月1日~31日。原則として10月1日時点の状況を尋ねたもの。従業員と事業所を対象に労働実態の調査を行った。有効回答数はそれぞれ、2万1250人、8782事業所。
従業員を対象とした調査で目立ったのが、「現状より、上位の職位を目指すか」という質問に対し、75・8%が「今のままでよい」と回答していること(回答者の職位は管理者17・6%、主任やサブリーダー20・4%、一般職が61・2%)。キャリアアップ制度整備の必要性が叫ばれる中、当の職員には管理職等への登用に消極的な様子が窺える。
新規採用に課題
事業所を対象とした調査では、職員の不足感が依然強い。13年以降、人員募集を必要とする事業所は4年連続で増加しており、「大いに不足」(9・6%)、「不足」(24・4%)、「やや不足」(32・6%)のいずれかを回答した割合は66・6%だった。職員不足の理由には「採用困難」を88・5%の事業所があげている。
また、採用が困難な理由は「同業他社との人材獲得競争」の56・9%が最も多かった。なお、離職率は前年度比0・5ポイント減の16・2%。
サービス類型では訪問介護員の不足感が8割を超え、一般の介護職員で約7割。
処遇改善加算の拡充が続き、昨年時点で9割の事業者が何らかの加算を取得している。最も厳しい要件の加算(Ⅰ)でも64・9%と大半の事業者は対応しているが、従業員の意識改革にも目を向ける必要がありそうだ。
今年度の社会保障審議会では処遇改善加算の取得状況について、人材確保における効果についても見える化を求める声が出ている。
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