セブン銀行(東京都千代田区)は8月、静岡県と外国人居住者との多文化共生推進を目的とした「多文化共生の推進に関する協定」を締結。セブン銀行の多言語対応の海外送金アプリで行政・災害情報などを発信することで、日本で働く外国人労働者の生活を支援していく。
セブン銀行 海外送金アプリで
セブン銀行が自治体と協定を結んだのはこれで9例目。今後も複数の自治体が同様に協定を結んでいくとみられる。
外国人技能実習制度に介護職が加わるなど、介護業界でも外国人の活躍に期待が高まっている。すでに製造・建設関係では外国人の就労が進んでおり、彼らからは日本での暮らしにおいて様々な苦労・ニーズが挙がっている。その中でも必ず必要になってくるのが「海外送金」だ。
外国人労働者のほとんどは賃金の一部を母国に送金する。全国各地にセブン─イレブンという生活インフラがあり、さらにセブン銀行のATMはコンビニ店内をはじめ全国約2万4000ヵ所に設置されている。
ATM操作は英語・中国語・ベトナム語・インドネシア語など9言語に対応。さらに9言語対応のコールセンターを用意している。電話オペレーターが利用者の母国語などで説明できる点が魅力。毎日朝8時から夜9時まで利用できる。
また、スマートフォンの専用アプリからも海外送金が可能。こちらも9言語に対応している。アプリを起動すると1万円あたりの送金レートを自動表示。最短数分で現地での受け取りが可能だという。
外国人労働者が銀行口座を開設をするのも一筋縄ではいかない。煩雑な書類記入があったり、必要書類を忘れれば出直しとなったりもする。
言語の壁や窓口で行員がかかりきりになることから金融機関側も外国人の口座開設にあまり積極的ではないとの声も聞こえてくる。
セブン銀行の口座は、東京都(台東区)、神奈川県(川崎市)、埼玉県(川口市)、愛知県(名古屋市)の有人店舗のほか、アプリ上での開設が可能。
また、外国人が働く職場などに出向き、13言語対応のソフトを使って口座開設ができるサービスも行っている。口座開設予定者10人程度から対応する。これまでに説明会を含め約3000回実施している。
2018年3月現在でセブン銀行の口座を開設した外国人は延べ22万人。外国人労働者の5人に1人は同社の口座を保有していることになる。近年は年1万口座ペースで増加している。出身国でみると、フィリピンが最多で7万6000人。次いで中国の2万9000人、ベトナム2万4000人、ブラジル、タイが1万1000人と続く。
同社の海外送金アプリは外国人居住者の生活支援プラットフォームの役割も果たす。必要不可欠な金融サービスを柱に、行政情報から近隣のスーパー・住宅・通信・旅行・学習塾などの情報をアプリ上で提供。
外国人介護人材に詳しいメディパス(東京都品川区)の小田弘取締役は「外国人雇用に際しては就業環境だけでなく、『生活』も雇用側で支えなければ長続きしない」と警鐘を鳴らす。日本での生活上の行為一つひとつが彼らにとっては簡単ではなく、就業に専念できるようまずは身の回りをサポートすることが重要だと話す。
逆に職場以外でも居住エリアの日常生活を親身に支えることで、彼らも安心して就業を続けることができる。人的サポートのほか、こうした海外送金アプリなどの活用方法を事業者側が知っておくことも必要だろう。
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