この度発表された「特定処遇改善加算」について、スターコンサルティンググループの糠谷和弘代表にポイントを聞いた。
2月13日の審議会で「特定処遇改善加算」についての詳細が発表された。業種によって5倍程度の開きがあることと、「特定事業所加算」等を算定している事業者に、最大で50%(訪問介護)の差をつけている点が注目すべき点だ。介護福祉士の養成に積極的な事業者が、有利な制度となる。
それ以上に着目すべきところは、本制度では「月8万円の賃上げとなる人、あるいは賃上げ後に年収が440万円を超える人を設定しなければいけない」というルールだ。つまり、一部の職員だけに、年収ベースで100万円程度の昇給をしろということだ。これは、小規模事業者には難しい要求である。例えば、月商200万の訪問介護事業者では、月間12万程度の支給を受けることになる。1人のヘルパーに8万支給すれば、残額は4万円。他の職員には、わずかな手当にしかならない。このように、少人数の職員内でやろうとすれば、組織のバランスを欠くことになるだろう。
今後の課題は、いかに合理的で、職員の納得度の高い給与制度が構築できるかだ。ツギハギだらけの制度では、最悪の場合、大事な職員の離職につながりかねない。もちろん、採用市場での戦いも厳しくなるだろう。
しかも、この制度に反映させなければならないのは、今回の制度だけではない。従来の処遇改善加算に加え、来期から始まる「働き方改革」のルールにも則った制度を構築しなければならない。私も実務にかかっているが、これは並大抵のことではない。
施行まであと半年。直前で慌てることのないよう、1日も早く職場で議論を開始してほしい。
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