----事業概要を教えてください。
中田 当法人は、医療法人社団奉志会、社会福祉法人博愛福祉会と3法人で、介護・保育・医療のサービスを提供する共同事業体「日の出医療福祉グループ」の1社です。グループ全体の売り上げは100億円(2017年度実績)、事業所数は130ヵ所になります。当法人が最も古く、現在14の高齢者介護施設と関東・関西で13の保育園を展開しています。
「日の出みりん」で知られるキング醸造(1900年創業・代表取締役大西浩介)の創業90周年事業として、地元への貢献を目指しました。3法人はそれぞれ自立して活動してきましたが、社会の急激な変化に鑑み、2016年夏から「持続可能な福祉」をスピディーに推進するため、本格的に連携しています。
----「持続可能な福祉」の根幹をなすものは、何でしょうか。
中田 一つは「人材育成」です。人材難が続くなか、新しい人の採用は大切です。当グループは、介護、保育、医療をカバーし、児童から高齢者まで幅広いサービスを提供をする事業体です。そのため、多様な職場と安定性が確保できています。それでも、新卒の採用は厳しさを増しています。有名大学からの新卒で、優秀な人材の確保はなかなか難しいです。コミュニケーションが不可欠の現場で、再教育を求められる現実があります。ただ、広い意味の人材育成も社会福祉法人の職務の1つと考えています。
もう一点が、経営感覚の育成です。私は、キング醸造で長年営業職を務めてきました。当初、社会福祉法人の考え方は営利企業の感覚からすると驚きでした。使命感から、難しい職務に取り組み、入居者にきめ細かく対応している半面、経営効率への関心は高くありませんでした。入居率への関心は低く、サービス残業の風潮など問題が見受けられました。働く職員が幸せでなければ、笑顔の介護につながらないと説得してきました。まず、自分が満たされてこそ、周囲に幸福を広げられると思います。そのためには、社会福祉法人でも適正な利益の確保は欠かせません。
----外国人労働者受け入れへの考えは?
中田 今年春からミャンマー、中国から受け入れます。国内の人材確保が難しいため、外国人労働者の受け入れは必然になっていくでしょう。
----今後の展望について聞かせてください。
中田 働き甲斐、職員の生活向上、介護品質に対して、管理者がしっかりとビジョンを示す必要があります。「介護プロフェショナルキャリア段位制度」のアセッサーを置き、利用者への品質の可視化を進めます。職員が日本一プライドを持てるサービスを創り出して行きたいですね。「この地域から、介護離職は出さない。元気な高齢者に活躍の場を提供する」が目標です。若い共働き世代が地域で安心して子育てができる環境づくりも進めていきます。
今、地域のサッカーチーム・バンディオンセ加古川の選手を、スポーツ枠で、正職員に採用しています。午前中の練習の後、施設で働いています。利用者の女性も若いスポーツマンを歓迎し、元気になりますし、バンディオンセ加古川もファンが増えたと喜んでくれています。知恵を絞って、できることを広げたいと思っています。
法人名 社会福祉法人日の出福祉会
設立 1992年3月24日
法人所在地 兵庫県加古川市平岡町新在家2333―2
代表施設 高齢者総合ケア福祉施設 稲美苑
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