国土交通省は、高齢期の健康・快適な暮らしのための住宅改修ガイドラインを初めて策定した。ガイドラインでは改修を行う際に配慮すべきポイントを8項目に整理。改修を検討する高齢者や改修業者・自治体にも活用してもらいたい考えだ。
長寿命化により退職後の高齢期の暮らしが長期化している。平均寿命は男性で81歳・女性で87歳と、この四半世紀で5年以上伸びているという。高齢者の体力は5歳以上若返っているという調査結果がある一方、健康寿命と平均寿命の差にはいまだに大きな開きがある。
国交省では「高齢者の住宅の設計・改修に関するガイドライン検討会」を設置し、明治大学の園田眞理子教授を座長に高齢期の生活に適した住宅改修のあり方の検討を進めていた。今回、検討結果を踏まえ「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいと改修ガイドライン」として取りまとめ、公表した。
健康で快適な暮らしを実現するために配慮すべき重要項目として8つのポイントを挙げ、中でも早期に改修を行うことで快適な暮らしに寄与する4つのポイントを重要事項として掲げた。
4つのポイントとして、ヒートショックの防止などを目的とした(1)温熱環境、(2)外出のしやすさ、(3)トイレ・浴室の利用のしやすさ、日常的な空間を同じフロアにまとめるなどの(4)日常生活空間の合理化、を挙げている。そのほか改修が望ましい事項として、「主要動線上のバリアフリー化」、安全で使いやすい「設備の導入・更新」、「光・音・匂い・湿度」、「余剰空間の活用」とした。
自立した生活を送ることができるような配慮とともに、単身・夫婦のみの高齢者世帯が増加していくことに鑑みて、在宅介護サービスを利用することも想定する必要があるとしている。
また、ガイドラインでは、心身状況・経済状況などを踏まえて「どのような暮らしをしていきたいか」という住まい方の自己選択に配慮すべきだと示した。住宅改修ありきではなく、住み替えや建て替えなどの選択肢の一つとして判断する必要があるとしている。
これからは高度経済成長期を過ごしてきた団塊世代が後期高齢者に差し掛かる。これまでの高齢者とは違い心身機能が衰えていない、退職後の就業率が高い、インターネットの活用に慣れているなど、より活動的だと言われている。一方、核家族化により家族からの介護が受けにくい、住宅ローンの長期化により経済的余裕がないなどの特徴がある点などにも留意しながら、住まい方を考える必要があるとした。
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