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“利用者” “家族”からの被害深刻
厚生労働省は4月10日、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」を介護保険最新情報として発表した。介護現場においては、上司や同僚などからのハラスメントだけでなく、利用者やその家族からのハラスメントもあり、厚労省では「職場におけるハラスメントとは異なる課題として対策に取組む必要がある」としている。

職員の半数が「経験」
「職場に相談」は少数

マニュアルでは、ハラスメントを「身体的暴力」「精神的暴力」「セクシュアルハラスメント」の3つに分類。介護事業所の職員に、これまでこの3つのうちいずれかのハラスメントを利用者やその家族などから受けたことがあるかを尋ねたところ、従事する介護サービスの種類によって差はあるものの「利用者から」は4~7割が「家族などから」は1~3割程度が「ある」と回答している(下グラフ)。

一方で「ハラスメントを受けた際に職場に相談したか」では、「相談しなかった」が2~4割に達しており、「内容によっては相談した」を加えても5~8割程度。
相談をしなかった理由については「自分の側に問題があるかのように対応される」「自分が我慢すれば済む話」「相談しにくい雰囲気が職場にある」(いずれも職員へのヒアリングより)などがあり、結果として介護事業所がハラスメントの実態に気づきにくいという現実がある。

ケアマネなど外部の協力を
こうした実態を受けて、マニュアルでは「ハラスメント対応として事業者が具体的に取組むべきこと」として

(1)ハラスメントに対する事業者としての基本方針を決定し、職員・利用者・家族などへ周知する、

(2)マニュアルなどを作成・共有する、

(3)報告・相談しやすい窓口を設置する、

をあげている。特に利用者・家族などに対する周知としては、「文書で渡すだけでなく、契約時に利用者や家族の前で読み上げるなどする」「場合によっては契約解除になることなどを伝える」こと、これを必要に応じて医師やケアマネジャーなどといった第三者の協力を得ながら繰り返し行うことが求められる、としている。

法改正に合わせ対策明確化求む
日看協 厚労省に要望書
利用者やその家族からのハラスメント問題については、業界団体も動いている。
公益社団法人日本看護協会(東京都渋谷区)は、4月10日、看護職員に対する患者・家族などからのハラスメント対策を求める要望書を、髙階恵美子厚生労働副大臣に提出した。

要望内容は以下の通り。
(1)(今国会に提出されている)改正労働施策総合推進法に基づく指針において、患者・家族によるハラスメントから看護職員を守るために事業主(医療機関)が講ずる対策を明確化して欲しい。また、早急に事業主に対策を義務付けて欲しい。

(2)ハラスメントから看護職員を守るための対策に取組む事業所を支援して欲しい。

(3)看護職員を含む医療従事者に対してハラスメントを行ってはならないことについて、国民への啓発を実施して欲しい。

(4)「看護師の人材確保の促進に関する法律」を改正し、国・自治体・事業主などが、看護職員へのハラスメント対策に取組むことを明記して欲しい。
髙階副大臣は「法改正後に示す指針で、事業者が行うべき対策を具体化し、例示する」「医療現場でのハラスメントの実態について調査分析を行う」との意向を示した。

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