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---財政規律と介護保険制度改革 ~地域包括ケアモデルの確立に向けて~---

7月16日に「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会取りまとめ」が発表された。本検討会は、2017年10月より9回の開催を踏まえ、介護分野におけるエビデンスの蓄積と活用のために必要な「介護に関するサービス・状態等を収集するデータベース(CHASE)」の20年度本格運用を目指し、CHASEの初期仕様において収集の対象とする項目の整理や、将来の方向性当についてまとめられています。

 

 

現実的なデータ収集できるかは疑問

とかく介護現場においては、「思いやり」、「気配り・目配り・心配り」といった精神論が重視され、医療と比較しても、エビデンスに基づいた科学的な対応については大変遅れておりました。もちろん理念や想いこそが介護の根底においては最も重要であることは否定されませんが同時に客観的指標に基づき介護サービスの品質を問い直すことも重要であります。

 

CHASEの初期仕様において収集すべき項目には、①基本的な項目、②目的に応じた項目、③その他の項目に整理され、「総論」「認知症」「口腔」「栄養」に分類された200を超える項目が示されております。「取りまとめ」においては、「収集項目等の評価・入力等に当たり、現場において一定の負荷がかかることが想定されることから…」との表記がなされておりますが、この項目を介護事業所において全て収集していくためには、途方もない労力を要することが想定され、現実的に収集可能であるとのイメージが全く持てないのが率直な感想です。

 

「取りまとめ」における将来の方向性においては、「今後、厚生労働省が、CHASEを科学的に介護に活かす仕組みを着実に整備していくことで、アウトカム評価などによる質の高い介護に対するインセンティブ措置を拡充していくことで…」との表記がなされております。つまり、CHASEに基づく指標によるアウトカム評価を今後の報酬改定において評価し、新たな加算創設の検討を意味していると捉えることが出来ます。具体的には、18年改定において通所リハビリ・訪問リハビリで新設された「VISIT」の導入に基づき算定される「リハビリテーションマネジメント加算」の介護版が想定され、早ければ21年改定で創設される可能性もあり得ます。介護現場が環境変化に追いつけていない現状に強い危機感を覚えておりますが、仮に新たな加算が創設されるにせよ、21年改定では試験的な加算創設であり、24年改定での拡充されていく流れが予測されることから、事業者は早めに、CHASEへの情報収集と対応準備を進めていくことをお勧めしたいと思います。

 

斉藤正行プロフィール
2000年3月、立命館大学卒業後、株式会社ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。

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