一般社団法人全国介護付きホーム協会(東京都港区)は10月17日に「全国介護付きホーム研究サミット2019」を開催。会場では第7回介護付きホーム事例研究発表全国大会が行われ、各地方ブロックの選考を勝ち抜いた10の事例が発表された。そのほか、お笑い芸人のレギュラーやstudio - Lの山崎亮代表による講演などが行われた。
事例研究発表大会では、ベネッセスタイルケア(東京都新宿区)のここち稲毛がグランプリに、サンライフ小野谷(福井県越前市)のサンライフ小野谷が準グランプリに選ばれた。
ここち稲毛は「全社で取り組んだ『夜間良眠』の排泄ケア」と題し発表。同ホームを含むベネッセスタイルケアの各ホームでは夜間巡視のたびに行っていたパッドの交換を、同意が得られた利用者に対してパッドの交換回数を減らす取組みを行った。利用者の睡眠を妨げない、スタッフの負担を軽減できる、などのメリットのある取組みだが、「ケアを減らすなんて」といった職員の声があり、なかなか導入が進まなかった。そこで同社の「落下傘部隊」が複数のホームにまたがり専門知識に基づく取組みの根拠を広め、職員の理解を得ることに成功した。取組み後、同ホームでは1日につき約360分もの業務時間が削減されたほか、夜間のナースコール回数の大幅な減少、食事介助・服薬介助時の傾眠ゼロなどの成果があったという。
医療法人士正会の吉村仁志理事は講評で「人手をかけるほどより丁寧な介護ができる、という認識を変えられる素晴らしい例。業務の『引き算』の大切さを改めて認識できた」と語った。
お笑い芸人のレギュラーの講演では、施設で明日から使える介護レクリエーションを発表。手足を動かしながら歌に合わせて左右の動作を変える運動や、お笑い芸人のギャグを利用者から募って組合わせる「ギャグ体操」などのレクリエーションを会場全体で行った。
「自分たちが『教える』のではなく、『教えてもらう』立場で行うことが大切。レクリエーションではできなくて当然くらいのことをして、失敗を恐れず楽しめるよう工夫している」(レギュラー 松本康太氏)
山崎代表の講演では、病院や寺院の地域住民と協働したコミュニティづくりを例に、地元住民との関わりの場づくりを時系列で紹介。コンセプトは住民でなく職員など内部で決めるべき、話し合ったことは後追いできるように必ず記録すべき、などのコミュニティづくりにおいてのコツを語った。
山崎代表は「コミュニティデザインは地域の人たちを変えよう、という考え方ではうまくいかない。地域の人たちのきっかけと場を用意して、それを見守るというスタンスで行う必要がある」と語った。
来年の介護付きホーム研究サミットは、2020年10月15日の10時30分より、福岡市のパピヨン24ガスホールにて開催予定だ。
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