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---財政規律と介護保険制度改革 ~地域包括ケアモデルの確立に向けて~---

 

年内に向けた決着に注目
今回は10月28日開催の第84回社会保障審議会介護保険部会において議論された「制度の持続可能性の確保」の中身を論考したいと思います。年内中には、いよいよ21年介護保険制度改正法案の取りまとめが進められている中、今回のテーマは制度の持続性の確保に向けて、いわゆる「給付の抑制施策」についての議論となることから、我々介護事業者にとっては最も注視しなければならないテーマの1つであります。

 

 

議論のテーマは8つ、①被保険者・受給者範囲、②補足給付に関する給付のあり方、③多床室の室料負担、④ケアマネジメントに関する給付の在り方、⑤軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方、⑥高額介護サービス費、⑦「現役並み所得」、「一定以上所得」の判断基準、⑧現金給付、についてでありました。

 

 

中でも我々介護事業者にとって注目すべき2つのテーマが④・⑤です。④ケアマネジメントに関する給付の在り方、については、今回、特に賛否両論の白熱した議論が交わされました。

 

主たるポイントはケアプラン作成に利用者負担を設定するべきか否かについてです。介護現場やケアマネ協会による反対の声は大きいです。他方で社会保障費の抑制の観点から骨太方針2018にも記載されていた項目でもあります。実施に向けた強い意向が働いていることも事実で、年内に向けた決着がどのようにつくのかが大きな争点の1つであります。

 

 

⑤軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方、については、こちらも同様に骨太方針に記載された項目であり、強い意向が働いているものの、部会においては委員の大多数が時期尚早であるとの趣旨の見解でありました。10月9日に開催された財政審において生活援助にとどまらず、訪問介護・通所介護の要介護1・2の総合事業への移管を財務省から提言されており、今回の部会での議論を経て、通所介護の軽度者改革の実施が21年改定で行われる可能性は限りなく低くなったと考えて差し支えありません。

 

 

残るは訪問介護の生活援助サービスが争点となり、こちらも年内中の結論が注目されるところですが、ケアプランの利用者負担の設定と比べれば、こちらも見送りの可能性が高まったと言えると思います。

 

 

このテーマへの継続的な議論が進んでいくことは間違いなく、先行している要支援1・2の総合事業への移管状況に対する調査結果の内容も再度分析し、必要があれば、さらなる追加調査を行うなど慎重な議論を促していくことが重要だと考えます。

 

㈱介護ベンチャーコンサルティング 

代表 斉藤正行氏

2000年3月、立命館大学卒業後、㈱ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。

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