厚生労働省は、高齢者に長く働いてもらうために配慮することは何か、事業者と労働者が取り組むべきガイドラインを2019年度内に公表する。
11月27日の「第4回人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」では、多方面からの調査結果をもとに働く高齢者の現状が示された。
業務上疾病として挙げられた「腰痛」は、57.8%が災害性腰痛(ぎっくり腰など)。特に、社会福祉施設などは増加傾向にあり、保健衛生業(社会福祉施設、医療保険業など)では30.5%を示した。会議では、社会福祉施設などに対し、働く高齢者の腰痛について一層の対策が求められると指摘。好事例に社会福祉法人目黒区社会福祉事業団が運営する特別養護老人ホーム「ひがしやまホーム」が紹介された。
同ホームでは、職員が長く働き続けられるよう「夜勤の移乗介助回数の見直し」「直接介護を行う介護士の腰痛健診(年2回)」や「腰痛予防体操」の実施、「衛生委員会を活用した職場の課題検討」「天井走行リフトの利用をルール化」が取り入れられている。
こうした労働災害防止対策に取り組んでいる企業は、全体の半数以上を占め、特に建設業や運輸業、郵便業の7割強が、作業前に体調不良などの異常がないか確認するといった体調管理や危険作業の回避に向けた配慮が行われている。一方、卸売業・小売業は47.0%、宿泊業、飲食サービス業は50.3%とやや低い。一層の周知・啓発や取り組みの促進が必要とされそうだ。
腰痛予防が課題
介護現場に関しては、職場環境において、身体機能の低下に伴う設備や装置の導入も提案。リフト機器、スライディングシートなどの導入による抱え上げ作業の抑制、労働者の腰部負担を軽減するための移乗支援機器などの活用策が示された。このほか、腰部に過度の負担がかかる作業方法の改善や定期的な休憩の導入や小休止、休息の積極運用が対応策として挙げられた。
来年度、厚労省は一定条件(手すりを付けているか、高齢者の体力診断を行うトレーナーを採用しているかなど)がクリアできているかを点数化し、優良と判断した企業への助成金も検討。上限100万円、全150件で予定している。
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