「家族の面会禁止」の前に
新型コロナウイルス感染症は、高齢者施設入所者には大きな脅威だ。感染を防ぐため、家族の面会を禁止にする施設もあるが、「まず職員管理が最優先」と安全な介護の山田滋代表はいう。本紙連載でおなじみの山田代表の緊急提言を紹介する。
■家族の面会禁止は二の次
新型コロナウイルス感染症の最も厄介なことは、感染して発症しても顕著な自覚症状が現れず、知らない間に周囲に感染させることです。当然、家族の中にも感染者がいると考えて、家族の面会を制限するのだと思います。しかし、外部からウイルスを運ぶ可能性が最も高いのは介護職員です。介助のために毎日入所者と身体を密着させて濃厚接触しているためです。
■職員の感染防止を徹底
施設管理者は家族の面会を禁止する前に、職員自身が感染しないように私生活も含めて徹底した感染防止の指導をしなければなりません。職員の私生活に踏み込むことを躊躇する管理者がいましたが、これは職業倫理の問題です。今後感染源不明の感染が拡大するという状況において、遊園地やカラオケに行く医師や看護師はいません。人の命を預かるという職業ですから、私生活でも自らの行動を律するのは当然です。
■家族の感染防止に協力
もちろん、体調不良の家族が面会に来ては困りますし、面会時には手指消毒やマスク着用のルールを守ってもらう必要があります。そこで施設は家族に感染防止の協力を求めると同時に、家族自身が感染しないようにアドバイスをすれば入所者の感染も防げます。
家族を外部からウイルスを持ち込む加害者にするのではなく、施設と協力して感染を防止する仲間になってもらえば良いのです。
次の文章は私たちが家族に対して通知した、協力依頼文の一部ですので参考にして下さい。
・観光地の屋内施設・ホテルの飲食施設・外国人旅行者の多い量販店・居酒屋やカラオケ・乗降客が多い駅の喫煙室や待合室・病院や医院の待合室・新幹線、特急、長距離バス
○手洗い・うがいなどの衛生管理を励行して下さい。
コロナウイルスは鼻から侵入して感染するケースが多いので、目鼻口の周囲の洗顔も効果があります。
○感染の疑いがある場合は、帰国者・接触者相談センターに連絡して下さい。
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