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【連載第103回】成年後見制度について

昨今の高齢化に伴い、認知症を患う高齢者数はますます増加し、成年後見制度の需要は一層高まっていくと見込まれています。
しかしながら、2018年時点で成年後見制度を利用している人は約22万人に過ぎず、潜在的な後見ニーズ(判断能力が不十分とみられる人の総数は推計約870万人)のわずか2%にしか満たないとされます。

 

そこで、本稿では、成年後見制度の概要について解説したいと思います。

そもそも成年後見制度とはどのような制度でしょうか。認知症や知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことを行うのが難しい場合があります。

 

また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害に遭う恐れもあります。

このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援する制度が成年後見制度となります。

 

 

成年後見制度には、大きく分けて、法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたりすることによって、保護・支援します。

 

他方、任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態となった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約を公正証書で結んでおくというものです。

 

成年後見制度は、判断能力が不十分な方々を支える重要な手段であるにもかかわらず、冒頭でも触れましたように、十分に利用されていないのが原状です。これに鑑み、2016年に成年後見制度の利用の促進に関する法律が制定され、2018年には厚生労働省が成年後見制度利用促進室を設置するなど、成年後見制度の利用促進に関する施策の推進により、今後の利用率の向上が期待されています。

 

 

弁護士法人ALG&Associates

執行役員・弁護士 家永 勲氏

【プロフィール】
不動産、企業法務関連の法律業務、財産管理、相続をはじめとする介護事業、高齢者関連法務が得意分野。
介護業界、不動産業界でのトラブル対応とその予防策についてセミナーや執筆も多数。

この記事は有料会員記事です。
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