綜合警備保障(ALSOK/東京都港区)は、介護付有料老人ホームなど47施設を運営する「らいふ」などを傘下に持つ「らいふホールディングス」を子会社化する。また、2019年よりM&Aを加速している創生会グループ(福岡市)は、北海道が地盤のアクティブ・ケアを買収。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、業界再編がさらに進みつつある。

 

 

 

高齢者施設の入居を連帯保証人代行で支援。未収金家賃も即座に立替払い<PR/ニッポンインシュア>

 

 

創生会Gグループ 拡大路線着々

 

各地でM&A活発

ALSOKが買収するらいふHDは、子会社のらいふが1都3県で介護付有料老人ホーム(介護付きホーム)やサービス付き高齢者向け住宅を47施設、約2000室を運営。食品検査事業子会社も持つ。らいふHDの19年11月期決算は、売上高126億4200万円、営業利益で9億1800万円となっている。

 

17年、投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズがらいふHDの4割超の株式を取得。都心部で20棟を超える介護付きホームを抱える同社については、その出口が「上場」か「売却」かは注目を集めていた。
ALSOKは買収価格を公表していないが、売却の打診を受けたという複数の関係者から話を聞くと価格は高騰していたとみられる。近年、都市部で複数の介護付きホームを持つ事業者には高値が付きやすい。

 

ALSOKは12年に訪問介護で介護事業に参入。その後は14年にHCM、15年にアズビルあんしんケアサポート(現ALSOKあんしんケアサポート)、16年にウイズネットなどを買収して拡大。また、18年には訪問マッサージのケアプラスを買収し、介護周辺事業の強化にも意欲的だ。今回、らいふHDの子会社化で、ALSOKグループ全体で約6500室体制となる。

 

 

 

立て続けの買収、北海道で存在感

 

創生会グループは北海道を地盤に静岡県、岡山県などにも事業所を持つアクティブ・ケアとその関連会社を、6月をめどに会社法の吸収分割により取得する。事業規模は有料老人ホーム・グループホームなどの定員数で約940名、在宅サービスを含め約50事業所におよぶ。

創生会Gは北海道でも事業を拡大(写真は有料老人ホームみのり釧路)

 

 

創生会グループは3月にも兵庫県で介護老人保健施設など900床を運営する医療法人社団博心会を承継しており、1000床クラスを立て続けにグループ化したことになる。
アクティブ・ケアについては経営状況が悪化していた模様。売却に至る最終入札には大手介護会社を含め複数社が参加していたとの情報がある。

 

 

創生会グループは17年に倒産した北海道の大手介護事業者「ほくおうグループ」を承継。19年には民事再生法適用を申請した社会福祉法人が運営する函館の特養の運営支援にも名乗りを上げるなど、北海道での事業も拡大している。

 

介護業界は慢性的な人材不足で新規開設による規模の拡大が難しくなっている。その点、入居者・スタッフが揃う事業を丸ごと承継するM&Aは早期に拡大を図る事業者には魅力的に映る。
HITOWAケアサービスやヴァティー、ネクサスケアなどの大手中堅事業者は軒並み投資会社が株式を所有している。経営難に陥る事業者の救済的なM&Aも含め、業界再編はさらに進みそうだ。

 

 

 

 

介護業界再編 新型コロナウイルスも影響

業界に詳しいKPMGヘルスケアジャパン松田淳代表取締役パートナーの話し。

 

――今後の業界再編は
「介護業界でプレゼンスを高めていくプレーヤーと撤退するプレーヤーに2分されている。確立された事業モデルを有する事業者について買い手は存在するが、事業性の乏しい事業者には買い手がつかない時代となっている」

 

 

――新型コロナウイルスの影響は
「影響はある。感染予防の観点から現場への立ち入りが難しく、事業再構築が必要だったり、外部から大量の人員を投入しなければならなかったりする事業者については買収しずらい環境だ。また、在宅系事業者の利用者確保にも大きな影響が出つつあり、業況が不安定になれば買収価格を見極めにくい」

 

 

 

この記事は有料会員記事です。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう