厚生労働省、エイジフレンドリー補助金 新設
厚生労働省労働基準局安全衛生部は3月、「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン/以下、ガイドライン)を公表した。これは、高年齢労働者の労働災害を防止するために、事業者と労働者に取組みが求められる事項を取りまとめたもの。これに伴い、エイジフレンドリー補助金を新設し、2020年度予算額は2億5121万1000円を計上した。
このガイドラインは、①事業者に求められる取組み、②労働者に求められる取組み、③国・関係団体等による支援の活用、を盛り込んでいる。
①における具体的な取組みとしては、
▽安全衛生管理体制の確立等
▽職場環境の改善
▽高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
▽高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応
▽安全衛生教育など。
社会福祉施設については、「家庭生活と同種の作業を行うため、危険を認知しにくいが、作業環境の違いにより生じるリスクに留意すること」「高年齢労働者の健康状況、体力に応じ、フレイルやロコモティブシンドローム(運動器症候群)について考慮する必要があること」「利用者の事故防止に関するヒヤリハット事例の収集に取組んでいる場合、こうした仕組みを労働災害の防止に活用することが有効であること」と記された。
②では、
▽健康診断等による健康や体力の状況の客観的な把握と維持管理
▽日常的な運動、食習慣の改善等による体力の維持と生活習慣の改善。労働者が自らの健康づくりに積極的に取組むよう努めることとしている。
なお、③に関しては、
▽個別事業所に対するコンサルティング等の活用
▽エイジフレンドリー補助金等の支援策の活用を推奨する。
今回新設されたエイジフレンドリー補助金は、60歳以上の高年齢労働者を雇用する事業者に対し、身体機能の低下に伴う装置、設備の改善に要する経費の一部を交付するもの。
20年度予算額は2億5121万1000円。うち、補助金部分は1億5000万円を確保すること――としている。
腰痛対策 最大200万円
補助対象経費の基準額は200万円。補助金の対象となる安全衛生対策等として、転倒災害防止策には通路の段差の解消、手すり等の設置。腰痛の対応には、リフト機器等の導入、パワーアシストスーツ等の導入、労働者の腰部負担を軽減するための移乗支援機器等の活用などがある。
「経済財政運営と改革の基本方針」(19年6月閣議決定)においては「サービス業で増加している高齢者の労働災害を防止するための取組みを推進する」ことが盛り込まれた。
また20年4月より、65歳超雇用推進助成金「高年齢者評価制度等雇用管理改善コース」について、支給対象経費と上限額を拡充。従業員の70歳までの就業確保に努めることを企業に義務づける「改正高年齢者雇用安定法」も、3月31日の参院本会議にて可決・成立している。
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