利用者や家族の不安に対応
社会福祉法人穏寿会が運営する特別養護老人ホーム「裕和園」(千葉市)では、新型コロナウイルス感染防止対策の一環で、4月6日から利用者と自宅にいる家族らの間で通話できるオンライン面会に取り組んできた。
これまでの振り返りや今後の活用の可能性などについて、髙橋秀明入所サービス課課長に聞いた。
---面会の方法は
基本的にLINEを使います。まず希望者に申込みいただき、その後の流れは次のとおりです。①QRコードを貼付けた手紙を家族へ送付、②家族がQRコードを読み取り友達登録、③家族が面会を予約、④予約時間に施設からLINEのビデオ通話をかけ、スマートフォン画面越しに面会(15分程)。
---申込み後の手順の周知方法や、利用の実情は
申込者にはオンライン面会のマニュアルを郵送し、周知しました。入所定員181名(ショートステイ含む)のうち60名程度が登録。利用は5月14日までで50回程で、普段から面会頻度が高い方に多く家族が遠方の方もいます。
印象に残ったところでは、ある難聴の利用者の場合、オンライン面会の際にご家族が筆談ボードを用意し「ごはん食べているか」「家族は元気だよ」などとやりとりされ、利用者も安心していました。事前に利用者の足のむくみを心配していたご家族がいたので、面会の際にむくみの様子を映像でお見せしたケースもありました。
顔が見えることで安心し、利用者も家族も表情が柔らかくなりますし、職員も感染対策の緊張感の中で仕事をしているので、その様子を見ると気持ちが和らぎます。一方、通話中にスタッフが付いていると言葉を呑んでしまう方もいると思うので、その点は課題かもしれません。
---ほかに行った利用者らの不安への対応や、感じた課題は
スマホを使えないご家族には電話をしたり、利用者の様子を伝える手紙を送ったりしました。また、施設では外出制限も行ってきましたが、利用者の様子を踏まえた職員からの提案で、施設内の中庭での日光浴も取り入れました。
従来型の施設ですが、感染防止策として空間的分離、「ユニット化」を導入しました。ビニールシートやソファなどで間仕切る形です。ただ認知症の利用者が多く目的の理解が困難な方もいることや、ソファなどに登ってしまうことによる転倒には注意しています。活動の制約で生じる筋力低下など別のリスクへの配慮も必要です。
---オンライン面会を収束後も使う可能性はありますか
これは私見ですが、オンライン面会は収束後も使えそうだと感じます。例えば遠方に住むご家族、九州や東北から年1回面会に来るような方がオンライン面会も利用したり、看取り期の利用者家族にその日の様子を伝えたりするツールとして。今回利用したLINEも、災害時の家族への情報提供などに使えるのではないかと思っています。
これまでに実行してきた感染対策や課題などは、法人のサーバーで情報共有しています。また、私も担当の一人である法人のBCPワーキングチームでは現在、制限解除の方向での計画も立てているところです。
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