【連載第2回】これだけやれば敏腕施設長
第2回 それはあなたの仕事ではない!
今回は施設長の「役割」を考えてみたいと思います。最近は、異業種での経営スキルを買われて施設長になる方も増えてきましたが、大半の方は介護現場の仕事ぶりやリーダーシップが評価されて、任命されたのではないかと思います。実は現場での豊富な経験が〝落とし穴〞につながっているのです。
■施設長は現場のボスではない
よく「日中は管理者の仕事ができない」という声を聞きます。現場の仕事に振り回され、落ち着いてデスクワークができるのは職員が帰ってからというわけです。小規模な施設で、現場の一員としてカウントされている場合は仕方がないですが、そこそこの規模になったら、これではいけません。現場仕事に管理者の役割が追加されるのですから、悪くするとその仕事量に押しつぶされる人も出てくるでしょう。
現場で頭角を現したあなたは、他の職員よりも介護技術、知識、経験が上です。現場で起こることに、口も手も出したくなります。先頭に立って指揮をとると、職員からも頼られます。「さすが施設長!」などと称賛されるでしょう。あなたは、それで〝仕事をしたつもり〞になるかもしれません。そこが大きな間違いなのです。
■施設長の役割とは
施設長の役割には、大きく5つがあります。
①現場の円滑な運営と法令遵守
②適切な人員配置とコストコントロール(支出管理)
③稼働率の維持・向上と加算算定(収入獲得)
④スタッフの育成とフォロー(職員管理)
⑤理念の浸透と上層部との連携
他にも、地域連携のための会議出席、採用、行政対応や大きな事故・クレーム対応など、管理者にしかできない業務は山ほどあります。現場に出て、陣頭指揮をする時間などないのです。ですから、あなたは「現場のボス」ではありません。その役目は下の役職者に引き継いで、施設長の役割をまっとうしましょう。
■時間を確保する!
しかし、いくらあなたがそう思っていたとしても、周囲の職員が理解していなければ、次から次に確認、相談がふりかかってきます。対応しなければ、職員の不満が大きくなります。離職につながるかもしれません。
そこで皆さんにやっていただきたいのは、以下の3つです。
また、施設長しかやらない業務の負担を周囲のスタッフに理解してもらうことも重要です。さも
なくば「施設長はいつもパソコンの前に座って〝楽そうだ〞」という評価を受けます。
その対策として、ある施設長は自らのスケジュールを「Googleカレンダー」で公開し、空欄は役職者であれば、自由に予定を入れてよいことにしています。逆に、それ以外はデスクワークに集中するという意思表示にもなり、仕事がはかどるということでした。
周囲の職員にも配慮しながら、自分の仕事の時間も確保できる、とても良い手法だと思います。
糠谷和弘氏
㈱スターコンサルティンググループ 代表コンサルタント
介護事業経営専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「地域一番」の介護事業者を創り上げることを目指した活動に注力。20年間で450法人以上の介護事業者へのサポート実績を持つ。書籍に「介護施設長&リーダーの教科書(PHP)」などがある。
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