【連載第3回】これだけやれば敏腕施設長 モデルをセットする!①
■ロールモデルを見つけよう
目標を達成するためには「具体的なゴール」があった方が近道です。ダイエットでも、ただ「痩せる」よりも「3㎏痩せる」の方が、とるべき行動が明確になります。
しかし〝ダイエット〞のように数値化できるものは具体化が簡単ですが、〝施設長〞は数値化できません。そんなときは「ロールモデル(お手本となる人)」を探しましょう。ダイエットで言うと「中村アンのようになりたい」といった感じです。
ところで、本連載のタイトルは「敏腕施設長」ですが、皆さんは〝敏腕〞と聞いてどんな人をイメージしますか?
男性で言えばアメリカドラマ「SUITS」のハーヴィー・スペクター。女性で言えば天海祐希演じる〝BOSS〞でしょうか。行動力があって頭の回転が早く、常に即断即決。厳しい局面でも毅然として立ち向かい、いつでも妥協せず、驚くような成果を上げるスーパーマン。もしそんな人を思い描いているのならば、ゴールは遥か彼方かもしれません。〝力相応〞でないと、自分と重ねてイメージすることができないからです。ポイントは〝手の届くロールモデル〞を見つけることです。(そういう意味では、中村アンもNGかもしれません)
■先輩を組み合わせて「理想の施設長」をつくる!
しかし、なかなか自分の理想がすべてつまった「モデル」を見つけるのは大変です。ましてや、介護施設のように部署が小さいところでは、超難題かもしれません。
そこで、いろんな先輩、上司の良いところを、組み合わせてみるのです。例えば私がコンサルタントになったばかりのときは、3人の上司を組み合わせました。
モデル1 講演が天才的で、聴講者を虜にする上司
モデル2 クライアント企業に的確にアドバイスして急成長させることができる上司
モデル3 たくさんのメンバーが参加するビッグプロジェクトのマネジメントができる上司
「講演力」「コンサルティング力」「プロジェクトマネジメント力」の3つの要素が完璧に備わった上司は身近にいませんでしたが、それらをばらして探すと見つかるものです。
これを介護施設長に置き換えてみましょう。例えば「部下からの信頼感」「プレゼン力」「(家族・外部との)コミュニケーション力」「会議力」「(稼働率を上げる)マーケティング力」「ケアマネジメント力」「クレーム処理力」「事故・急変対応力」といったテーマになるでしょうか。組織によっては「係数感覚」「採用面談力」「業務改善力」などもあるかもしれません。
それぞれのテーマでモデルをもつけて「理想的な施設長」を作ってみましょう。
〝モデル探し〞をするときの注意点としては、性別にこだわらないことです。女性であれば女性上司から探したくなりますが、男性でも参考になる人はいるはずです。また、先輩・上司にこだわらず、部下・後輩も候補に入れましょう。
■もし見つからなかったら
身近でどんなに探しても見つからなかったら、そのときは外部に求めましょう。異業種も含めて、いろんな人達と知り合う機会を持つと、「あの人はここがすごい」「あの人のこの部分を真似したい」という人が現れるはずです。
私は長年「介護経営カレッジ」という会員制勉強会をしています。会員の経営者、施設長同士はお互いをリスペクトしあっていて、良いところを真似しあっています。ある側面では〝師匠〞である人が、またある側面では〝弟子〞なのです。こんな仲間ができると、〝敏腕〞の道も近いと思います。
こうした会で〝師匠〞を見つけるコツは、積極的に食事をしたり、酒を飲んだりすることで、率直に話せる深い付き合いをすること。そして、チャンスを逃さず(機会があれば躊躇せず)、お互いの施設に行き来してみることです。
糠谷和弘氏
㈱スターコンサルティンググループ 代表コンサルタント
介護事業経営専門のコンサルティング会社を立ち上げ、「地域一番」の介護事業者を創り上げることを目指した活動に注力。20年間で450法人以上の介護事業者へのサポート実績を持つ。書籍に「介護施設長&リーダーの教科書(PHP)」などがある。
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