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 アズパートナーズ(東京都千代田区)では、2019年7月よりポリファーマシー改善に取り組んでいる。グリーンエイト  セントラル薬局(さいたま市)と提携し使用薬剤の適正化を行うことで、運営する介護付きホーム8施設において、服薬剤数が6剤減少した例やADLが向上した例などが見られているという。

 

 

 

 

10剤が4材に減少、入院率の低下にも

 

取り組みの方策としては、(1)協力医療機関との事前調整、(2)看護スタッフに対する研修およびミーティングにおける情報共有、(3)セントラル薬局による勉強会、(4)訪問診療時の主治医に対する情報共有、(5)具体的なホームでの取り組み、の5つを実施。

 

 

 

看護師主導、薬剤師と連携

 

(1)においては、まずすべての協力医療機関に対し協力を依頼。「『当社とともにポリファーマシーに取り組んでほしい』というメッセージとして、協力を得られない場合は他医療機関を追加するなどの調整を行った」(看護アドバイザー 石川渚氏)。

 

 

(2)の看護スタッフミーティングは2ヵ月に1度開催し、協力薬局から得た各ホームの平均服薬剤数データとともに、取り組みの進捗状況、成功事例などを共有。

 

 

(3)では、ミーティングにおいてセントラル薬局グループ薬剤師の柏木和人氏による勉強会を開催。柏木氏は「看護師がモニタリングした情報をもとに、処方の適正化に向けて定期的に評価するという役割がある」とし、薬剤師としてケアスタッフともコミュニケーションをとり、「チームでよりよくしていく」ことを重要視した。

 

 

また、(4)訪問診療には薬剤師も同行。同社で導入されている記録・状態把握システム「EGAOlink」を活用し入居者の睡眠状況を訪問診療医に示すことで、睡眠薬の必要性の検討など根拠ある診療・投薬に繋げてきた。「訪問診療で『お変わりがない』ために『同じ薬を処方』するのではなく、『心身の状況が安定』しているから『処方を減らせないか』という姿勢に変わった」と石川氏は話す。

 

 

さらに、(5)ホーム全体で、日中の活動量を増やすなどケア面の充実に取り組み、眠剤の減少に繋がることもあった。

 

 

その結果、19年7月から20年4月まで取り組みを行った8ホームの全入居者の平均使用剤数は6・3剤から5・7剤に減少(主治医による処方のみ)。また、有害事象の発生が増加すると言われる7剤以上の入居者は44%から37%に減少、10剤以上の入居者は18%から11%に減少した。

 

さらに「入院率の低下にもつながっており、19年は全体平均3%以下を維持。入院を回避できている可能性もあると思う」と石川氏は減薬の妥当性を示す。具体的な成功事例では、精神安定剤ではなくケアによる安定を目指しADLが改善した例や、10剤から4剤に減少し副作用による口腔内の乾燥が改善され、食事量が増加した例もあるという。

 

 

19年度のこうした取り組みを継続しながら、同社では今年度の目標に「下剤0」を設定。まずは下剤の適正化として、食事や水分摂取、機能訓練など多方面からアプローチするため、全職種での定期カンファレンスを開催する。「排便コントロールができていないことによる入居者のストレスや、ケアスタッフの負担を軽減したい。会社の方針とともに、現場を巻き込み取り組んでいく」(石川氏)

 

左より、シニアホーム運営部サービス企画・育成グループ看護チーム看護アドバイザーの石川渚氏、セントラル薬局グループ薬局運営本部運営支援学術研修部兼務の柏木和人氏

 

 

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