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東京商工リサーチ調査

 東京商工リサーチ(東京都千代田区)は「2020年上半期『老人福祉・介護事業』の倒産状況」を7月7日に発表した。1~6月の倒産件数は58件と、19年同期の55件を上回り最多記録を更新。開設してまだ間もない小規模事業者が大半を占め、競争の激しいデイサービスやショートステイの通所・短期入所介護事業の倒産数が増えている。

 

 

 

業種別では「訪問介護事業」31件、デイやショートステイなどの「通所・短期入所介護事業」18件、「有料老人ホーム」4件、特別養護老人ホームなどを含む「その他」5件。
人材不足が続く訪問介護事業は、急増した前年同期の32件に引き続き1件減の31件と高止まり。通所・短期入所介護事業は、事業競争激化と利用者の伸び悩みによって経営の厳しい状況が続き、前年同期の13件か38.4%増え、18件となった。

 

 

20年1~4月の倒産は累計43件だが、5月は1件。新型コロナ感染症の拡大を受けて休業した事業が多いためと考えられる。しかし6月は14件と、一気に増勢に転じた結果となった。厚生労働省が通所・短期入所介護事業者に向けた介護報酬特例などの支援策を発表したにもかかわらず倒産するケースがあり、元々の経営が厳しい事業者がいることが明らかとなった。

 

 

倒産原因は「販売不振」が35件と最多。
形態別では、破産が54件と全体の93.1%を占めた。法人を清算する消滅型の破産手続きを取るケースが多くなっている。
地区別では、関東地区19件、近畿11件、中部と九州各7件、北海道と東北各4件、中国と四国各3件である。都道府県別で最多は、東京と大阪の各7件。

 

 

倒産した会社の負債総額は61億2000万円で上半期としては2年ぶりの減少となった。
設立してから5年以内に倒産する事業者は18件と全体の3割を超えた。拡大する介護市場を狙って安易に参入した結果、未熟な運営が要因となって失敗したケースが目立つ。

 

 

要介護・要支援認定者数が増え続ける一方、小規模事業者の倒産が相次ぐ。「介護難民」問題が深刻化するとともに、「20年の老人福祉・介護事業の倒産は過去最多の17年と19年の111件を上回る可能性がある」と東京商工リサーチでは分析している。

 

 

 

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