高齢者施設や病院で導入
高齢者が楽しみながら行える機能訓練として、「卓球療法」が高齢者施設や病院などで導入されている。プログラムを開発したのは、NPO法人日本卓球療法協会(神奈川県相模原市)。資格講座を開催するなどして、普及を進めている。
卓球療法とは、その名の通り卓球の用具や動作で心身の健康の維持・向上・予防を図るもの。座ったままプレイすることもできるため、足腰が弱い人でも参加できる。日本卓球療法協会が認定した「卓球療法士」の進行のもと、ピンポン玉を打ち合う卓球バレーなどの「機能訓練」が行われる。一連の動作の反復が、動体視力や反射神経、手指や関節機能の改善へとつながるという。
同協会の長渕晃二理事長は、「ラケットを握る動作で手の機能が改善し、ペットボトルのキャップを楽に開けられるようになった人や、体幹が強化されバランスが改善した人もいる。卓球を経験したことがなくても『楽しんで』できることが強みだ」と語る。
長渕理事長が顧問を務める介護のハッピー合同会社のデイサービス「ピンポンデイハッピー渋谷」(同大和市)では、卓球療法を取り入れた機能訓練に注力している。その日も利用者たちがゲームで盛り上がっていた。「あの人のところはガードが甘いから狙って!」など、コミュニケーションを取りつつ、対戦相手を攻める眼差しは真剣そのもの。
長淵理事長は、福祉短期大学やリハビリ専門学校の教員時代に卓球療法を知ったという。導入施設の見学を通じて、TUGテストなどで改善傾向が確認でき、なおかつ楽しみつつできることを知り、全国の機能訓練の現場に普及させたいと思い、2014年に同協会の立ち上げに関わったという。
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