32自治体10月末まで
九州と中部に大きな被害をもたらした「令和2年7月豪雨」。厚生労働省老健局は7月14日付の事務連絡において、被災した一部地域の被災者に対して10月末までの介護サービス利用料や負担金などの支払い猶予を認めることを通知。避難先の自治体でも介護サービスや医療が受けられるように配慮しているが、被災地ではまだ浸水被害の片付けが終わっていないことや避難生活を余儀なくされている人も多い。
施設被災は全国99ヵ所
猶予の対象者は、令和2年7月豪雨に係る災害救助法が適用されている市町村のうち、7月14日時点で一部負担金や利用料の支払いを猶予する意向を表明した32市町村の介護保険被保険者か、住居が全半壊や床上浸水するなどの深刻な被害を申告している人が対象。
32市町村の内訳は、岐阜県が4市、福岡県が2市、熊本県が9市12町5村。あくまで7月14日までに厚労省に対して猶予を申し出た自治体で、厚労省では今後の申し出により対象自治体が増えることも示唆している。
猶予期間中の措置として介護サービス事業者には、利用料の額を含む10割の請求を求めている。ただし、介護保険施設などにおける食費・居住費については、自己負担分の支払いを受ける必要がある。
さらに上記3県の後期高齢者医療広域連合と全国健康保険協会の被保険者に対しては、医療費の支払い猶予や保険証なしでの受診を認めている。
内閣府が7月15日午前6時時点でまとめた令和2年7月豪雨の被害状況によると、高齢者関係施設の被害は中部と九州の6県99ヵ所に及んでいることが分かった。このうち27ヵ所において、7月15日時点でも浸水被害後の後片付けなどが進んでいない。
最も被害の大きい熊本県では、7月7日に再び襲った大雨の影響で荒尾・玉名地区で3ヵ所、阿蘇地区で1ヵ所の高齢者関係施設が浸水被害を受けた。人的被害は出ていない。
熊本DCATなどが避難所支援
その後も、断続的に梅雨前線が活発化していることから熊本県は7月13日時点で、52宿泊施設(約1900人分)の部屋を高齢者や障害者用に確保。熊本県災害派遣健康福祉チーム(熊本DCAT)を8日から人吉市・球磨地域の避難所へ派遣し、高齢者や障害者などの要配慮者支援を行っている。
今回の豪雨で熊本県下では高齢者施設のほか医療機関の浸水被害も相次いだことから、被災した高齢者の転院搬送も進められており、7月11日以降、熊本市内の特別養護老人ホームへの移送などが行われた。
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