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 本紙の高齢者住宅・施設運営定員数ランキングで4位となった学研グループ(東京都品川区)。その新規開設数は業界随一を誇る。コロナ禍での事業への影響や対応・対策、今後の事業展開や新規開設などについて、学研ココファン 五郎丸徹社長に話を聞いた。

 

学研ココファン 五郎丸徹社長

 

 

 

――新型コロナウイルスの収束が見えない中、どのような影響がありましたか

五郎丸 3月~5月のデイサービスの稼働率に大きな影響を受けました。
デイ併設のサ高住では、入居者の利用、外部利用どちらも感染への懸念から利用控えが起き、毎月5ポイントずつ稼働率が下がりました。6月以降も続くかと思いましたが、利用者にとって「デイに行かないリスク」も大きく、7月には3月以前の状態に戻っています。

 

 

サ高住の入居者においては1日1件ほどPCR検査を受ける方がおり、実際に神奈川の施設で1人感染者が出ました。感染者対応のための準備として、40歳以下で既往歴がなく、独身であるといった職員約500人をリストアップし応援体制を整えていましたが、実際には本部の部課長も現場に立ちました。
欧米と比べて、日本の介護業界は頑張っていると言えます。医療崩壊していない現状に、介護施設、高齢者住宅が寄与している側面は大きいのではないかと思います。

 

 

 

――コロナ禍で勤務した職員への待遇や、現状については

五郎丸 緊急事態宣言下の勤務手当として、職種問わず全従業員に一時金を支給すると決め、自ら全施設を回り、全職員分届けました。また、感染者発生拠点の勤務については防疫手当を支給しました。

 

現状の影響としては、5月~9月の間に首都圏や名古屋、福岡で予定していた8件の新規開設をそれぞれ3ヵ月延期したため、うち4件は来期にずれ込む予定です。入居見学会などは6月より再開しましたが、個別に少人数で行う見学会の開催や、YouTubeでのオンライン内覧などで対応しています。

 

 

 

――年間の新規開設予定やエリアは

五郎丸 当社は10月期決算で、今期は16ヵ所開設予定であったのが12ヵ所にとどまりました。しかし年間30ヵ所新規開設の目標に向け、来期は25ヵ所ほど開設する予定です。エリアは7割方が首都圏ですが、名古屋、広島、福岡、熊本に加え、新潟にも進出します。仙台や札幌などのエリアも今後展開予定で、全国に拡大していく方針です。

 

 

 

 

行政と連携 大規模開発も

 

――複合型やSST(サスティナブル・スマート・タウン)など、大規模な開発も続くようですね

五郎丸 行政と連携した大型開発も、年1件以上は開設していきたい考えです。今後は、2021年に静岡市駿河区で、22年には大阪府吹田市、広島県廿日市市、川崎市で複合型開発を行います。中でも廿日市市の官民一体開発では、5000平米もの土地を当社が開発し、71戸のサ高住を開設します。

 

廿日市で開発するサ高住の外観

 

 

 

――医療対応や看取り強化のサ高住などの展開については

五郎丸 住まいとしてのサ高住は大切にしていきますが、時代に合ったものを市町村の意向に沿って展開するため、看多機を併設した医療対応強化のサ高住も今期開設します。地域包括ケアシステムに必要不可欠な訪問看護についても充実させていく考えです。現在8ヵ所運営していますが、大型化してサテライトのように分割していく予定です。

 

そのほか、今後生産緑地の開発が可能になることから、農地や牧地の中に低層木造のサ高住を建てる「ケアファーム」構想もあります。オランダ発祥で、農家に介護施設の機能を加えた「多世代」「まち」「自然」と共生する住まいです。当社では、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにするZEBやグリーンリース、木造建築を推進しており、環境を考慮した開発について優先的に取り組んでいく方針です。

 

 

 

――M&Aなど今後の展望は

五郎丸 積極的に対応していきます。サ高住に限らず在宅サービスも、当社が取り組んでいる事業と補完関係にあるものはすべて対象です。
「集合住宅に住まう」という選択肢が10年後の介護には必要だと考え、学校の取り壊しなどによる公有地の公募には手を挙げています。やはり15万~20万円で入居できる施設が主流だと思いますし、当社なら学習塾や保育園も加えた多世代共生のまちづくりができます。重要なのは、「子育てしやすく介護ができるまちづくり」であること。これを念頭に事業展開していきます。

 

 

今後、人口のボリュームゾーンである71歳~74歳、いわゆる団塊の世代が実際に住み替えを必要とする約10年後に巨大需要が発生するでしょう。その時に十分な供給量がなくてはならない、そのために当社は年間30棟を掲げ、新規開設を続けていきます。

 

 

 

 

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