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“骨太方針”に沿った流れへ

 

今回は7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太方針2020 )」における社会保障・介護保険制度改革の中身を確認し、次期介護報酬改定の行方を論考します。骨太方針は例年では5月、6月には閣議決定されていますが、コロナ禍により遅れるとともに、内容もコロナ禍における財政運営の在り方を問うことが一番のテーマとなっています。

 

 

高齢者介護に関する記述は、「デジタル化・オンライン化の実現」「生産性の向上」「フレイル対策・重症化予防」「認知症施策推進大綱」「外国人材の受入れ」と従前より推進されてきた方向性が記載されており、目新しい記載は少ないです。

 

 

その中でも着目したい点が3つあります。

1つは、『雇用の維持と生活の下支え』のテーマにおいて「優良な職業紹介事業者の明確化等により、医療介護福祉保育等の人材を円滑に確保する」と記載されており、昨年より急速に議論が加速している「人材紹介会社への手数料問題」への対策を講じていくことが示されました。

 

2つめは、『新たな日常に向けた社会保障の構築』のテーマにおける「ケアプランへのAI活用を推進するとともに、介護ロボット等の導入について、効果検証によるエビデンスを踏まえ、次期介護報酬改定で人員配置の見直しも含め後押しする」との記載です。ケアプランへのAI活用といったかなり具体的な施策や、ロボット活用における人員配置の見直しが記載されており、介護給付費分科会でのグループホームにおける「見守り機器の活用を前提とした夜間人員配置の緩和」についての議論などに繋がっています。

 

最後に、最も気になる記載が、先と同じテーマにおける「骨太方針2018、骨太方針2019等の内容に沿って、社会保障制度の基盤強化を着実に進める」です。この記載によって、次期改定の大方針は18年度と19年度の骨太方針の内容全てが考慮されることとなります。

 

 

骨太方針2019では、「介護報酬においては、適正化・効率化を推進しつつ、安定的に質の高い介護サービスが提供されるよう、ADLの改善などアウトカムに基づく支払いの導入等を引き続き進めていく」との記載があり、ADL維持等加算の拡充が次期改定で検討される論拠となります。

 

さらには骨太方針2018において「介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスについて、給付の在り方を検討する」と、財務省が提言している給付抑制施策の記載があることから、コロナ禍で迎える次期改定においても一定の報酬抑制施策は議論されることとなるでしょう。

 

 

 

斉藤正行氏
2000年3月、立命館大学卒業後、株式会社ベンチャーリンク入社。メディカル・ケア・サービス㈱の全国展開開始とあわせて2003年5月に同社入社。現在の運営管理体制、営業スキームを構築し、ビジネスモデルを確立。2005年8月、取締役運営事業本部長に就任。2010年7月㈱日本介護福祉グループ副社長に就任。2018年4月㈱ピースフリーケアグループ代表に就任。2018年6月、介護業界における横断的・全国的組織となる一般社団法人全国介護事業者連盟を結成。㈱日本介護ベンチャーコンサルティンググループの代表を務めている。

 

 

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