生活援助など介護保険外で
福祉用具事業などを展開するカワイコーポレーション(大阪市)は、退役したアメリカ軍人と、その家族を対象にした生活支援サービスを沖縄で新たに立ち上げる。新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着き次第、事業を開始する計画だ。
退役後も沖縄に留まるケースも
アメリカ軍人(以下:米兵)は4年間をひとつのサイクルとして様々な国に駐留し、退役後は原則として本国に帰国することになっている。
しかし、駐留先の国で現地の人と結婚した場合には、そのまま駐留先に留まることも可能。日本に駐留している米兵の中にも、少数ではあるが退役後に沖縄県などに留まり、生活を続けている人もいる。なお、退役時の平均年齢は40歳前後。退役後も何らかの形で軍やその関係者に雇用されているケースがほとんどだ。
また日本人と結婚した退役米兵は、一定の条件を満たせば公的に日本の介護保険サービスを受けることも可能となっている。しかし、実際には、言葉の壁や生活習慣の違いなどの問題もあり、利用しているケースは稀だ。
その一方で、実際に戦地に赴いた経験のある米兵の中には、戦地でのけがなどが原因で、身体に何らかの障害を負い、生活に支援を必要としているケースも多い。
同社のサービス「RVSS」(Retired Veterans and Spouse Support Project)は、こうした退役米兵に対し、身体介助や、買い物同行・代行などといった生活援助を介護保険外サービスとして提供するもの。詳細については未定だが、価格は日本の介護保険サービスを全額自費で利用した場合と同額とする予定だ。
知識不足などで金銭受け取れず
また、退役米兵の配偶者である日本人向けには、国際結婚に伴い発生する様々な問題の解決を支援するサービスを行う。
例えば、前述したような任務により身体等に何らかの障害を持った退役軍人に対しては、障害の程度に応じた傷病手当のようなものが毎月支給されるなど、軍人や退役軍人に関する補償・手当てなどの仕組みは特殊であり、多くの配偶者はこれを理解できていない。
配偶者向け相談会も
これに加え言葉の問題などから各種申請ができないこともあり、退役米兵が死去した際に、遺族として自分が受け取れるはずだった金銭を受け取れない、などといった事態が発生することが考えられるという。
同社では、こうした事態を防ぐために、今後、沖縄県内で日本人配偶者向けの相談会・勉強会を定期的に開催していく。既にチラシもあらかたできており、年内には退役米兵が居住している自治体などに向け、配布を開始していく計画だ。
同社では「こうした退役米兵及び家族向けのサービスは、軍の仕組みや退役米兵の生活実態など幅広い分野についての詳しい知識が必要となります。そのため、退役米兵が多い沖縄でもこれまで例がありませんでした。3年間にわたり徹底的な勉強を行い、米軍関係者などとのパイプを構築し、やっとサービス提供ができるめどがたちました」とコメントする。
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