アスベスト専門の分析・除染作業などを手掛けるEFAラボラトリーズ(東京都千代田区)は、除菌作業を行った前後でどのくらい細菌やウイルスが残っているか調査する新サービスを7月から飲食店や高齢者施設向けに開始した。

 

調査方法は「ATPふき取り検査(A3法)」を採用。机の表面やトイレのドアノブなどの汚れを数値化することで、今後の除菌・消臭作業の指導や効果的な清掃作業などについて分かるという。

 

7月末に千葉県松戸市内の特別養護老人ホームで行った実証実験では、高齢者施設のスタッフたちの意見も取り入れながら老人ホーム内で汚れが気になる箇所を指定して検査を実施。普段掃除している机と今回の調査のために掃除を控えていた机や、机の表面と側面の測定結果に対して様々な意見が飛び交い、「衛生関係の啓蒙につながった」と好評だったという。本サービス開始のきっかけから実証実験の詳細について、亀元宏宣代表に話を聞いた。

EFAラボラトリーズ 亀元宏宣代表

 

 

――飲食店や高齢者施設向けに新サービスを始めた経緯を教えてください。

亀元 アスベスト専門の分析・調査会社として2007年に起業し、これまで13年にわたり有害物質を外に出さない換気方法やアスベスト飛散防止対策を講じた業務を行ってきました。

今年に入って新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、飲食店や病院・高齢者施設でのクラスター感染につながった感染症対策について聞いた際に、これまでのアスベスト飛散防止作業で培った正しい換気方法や掃除方法などを伝えなければ、仕事を行う従事者が安心して働けないと考え、始めました。

 

 

ーー調査方法のATPふき取り検査について教えてください。

亀元 ATPふき取り検査は、細菌やカビ、その他の微生物などのすべての有機物に含まれているATP(アデノシン三リン酸)を綿棒でふき取って調べる検査です。ATPを汚れの指標として、汚れを検出して数値化します。測定時間は10秒ほどで、その場で衛生状態を確認できます。元々は清浄度検査という手指や医療器具などの高頻度接触面が十分に清浄されているかを調べる検査で、病院や高齢者施設内での院内感染を防ぐ目的でも使われています。

ATPふき取り検査キット

 

 

――どのような効果を期待できますか。

亀元 汚れを数値化できるため、仮に2つの洗浄作業を行った際にどちらの方がより優れているのかが分かり、洗浄作業の改善につながります。また、洗浄不足になりやすい箇所の発見や清潔を保てていると感じた箇所の本当の汚れ具合が分かるため、スタッフの衛生意識向上にもつながります。

 

 

ーー高齢者施設での調査の流れについて教えてください。

亀元 基本的に普段通り掃除をしている中で「ここの掃除は普段しないけど汚れ具合はどうだろう?」といった箇所や、「毎日掃除しているけれど本当に清潔を保てているのか気になる」箇所を積極的に測定するようにしています。具体的には、よく人の通る通路のドアノブや点灯スイッチ、エレベーターのボタンなどです。

 

先月末の千葉県松戸市内の特養で行った例では、毎日の清掃作業を行った後の机とあえて数日間掃除せずに放置していた机の2つを用いて、まずはどれだけ汚れ具合が異なるのかそれぞれの表面の汚れを数値化していきました。

 

検査時の様子

 

 

 

――調査中の印象的な出来事は何ですか。

 

亀元 ATPふき取り検査では測定単位が発生した光の量(発光量)を示す単位であるRLU(Relative Light Unit)値になります。このRLU値が高いほど測定箇所の汚れが多いと判断できます。

 

調査を始めて毎日掃除している机と数日間掃除せずに放置した机の表面の複数個所のRLU値が1000以下の「きちんと掃除されている綺麗な状態」が続く中で、数日間掃除せずに放置した机の側面を測ったところ、196644RLUという値が出たことです。RLU値は1000以下が綺麗な状態、1000より上で2500未満が注意した方が良い状態、2500以上が危険な状態のため、20万近い数字がいかに掃除が不十分だということが分かるかと思います。また、毎日掃除している机の同じ箇所を測定したところ、そちらは3862RLUという結果になり、そちらも掃除が不十分な危険な状態でした。

 

これらの結果を見た後に、施設スタッフの方々の目の色が変わり、「机の側面の掃除は今までどうやっていたのか?」「なぜこの結果になったのか?」「普段のふき取り掃除に問題があったのではないか」と話し合いが始まり、対策方法やこの測定結果の要因についてスタッフから積極的に相談されました。

 

レポートの結果から抜粋

 

 

 

――調査後の施設からの感想を教えてください。

 

亀元 「気をつけて触ることの多いエレベーターのボタンはそこまで汚れが残っていなくて驚いた」「雑巾がけの方法を誤るとウイルスの汚染を広げてしまうことが分かり勉強になった」「常日頃からの掃除方法について見つめ直す機会になった」などの感想が届きました。

 

 

 

――ATP検査の依頼料は。

亀元 1回の検査で15万円(交通費別)ほど、約2時間の所要時間がかかります。また、その日の2時間の実証調査を取りまとめた検証動画の作成などは別途費用が掛かります。

 

 

ーー今後の展望について。

亀元 汚れを数値化して掃除方法などを見つめ直した結果、ウイルスの感染症対策につなげてほしいと思います。また、どのように換気をするのが感染症対策に効果的なのかについても私たちはアスベスト除去作業の経験で分かるため、今後は接触と飛沫の両方の感染症対策を行っていきたいと考えています。

 

 

ドアノブ調査中の写真

 

 

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